口内炎の原因はいくつかありますが、漢方医学では「脾胃」(胃腸)の健康状態に関係があるとされています。甘い物、脂っこいものを食べ過ぎた翌日、口の中や舌に口内炎ができてしまっていることに気が付き、「しまった!食べ過ぎた」と反省するようなことは誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。

 

また、胃腸がもともと弱い人なら過食など食事の乱れがなくても、食べ物を消化し吸収して栄養にする力が弱っているので、常に口内炎ができやすい状態にあるといえます。

 

また過労やストレス、睡眠不足などが重なれば胃腸の働きが弱まり免疫機能も低下するので、さらに口内炎ができやすくなります。漢方では胃腸の調子を整え、さらにストレスや疲労に対しても考えられた薬が複数あります。自分の体質や体力、胃腸の状態やストレスの有無などを考慮して選んでみるのもよいでしょう。

 

また、何かしらの病気(がんや膠原病など)をかかえている人は、その病気や服用している薬の副作用などが原因として考えられるため、必ず主治医に相談するようにしてください。

 

年に3回以上口内炎ができ、かつ治りにくい口内炎になりやすい場合は、Recurrent aphthous stomatitisといって「繰り返す口内炎」という範疇の病気を探す場合もあります。その場合には、検診を受けたり総合内科を受診したりというのもよいでしょう。

 

 

【口内炎におすすめの漢方薬】

 

半夏瀉心湯』 ◇繰り返す口内炎と胃炎に

半夏瀉心湯は体力中等度で慢性的な胃炎などの症状があり、口内炎を繰り返すタイプに適しています。精神的なストレスをかかえていることが多いと、過食や不眠などで口内炎が悪化するケースがあります。

 

慢性的に胃炎がある人は、まずは胃炎の改善に漢方薬を使うことで、口内炎が改善することもあります。六君子湯や平胃散、胃苓湯など、慢性胃炎に使われる漢方薬は数多くあるため、体調や体質を考慮して選ぶとよいでしょう。半夏瀉心湯には炎症を抑える作用のほか、イライラなどの精神症状の改善も期待ができます。

 

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として、間質性肺炎や肝機能障害、消化器症状、発疹などが記載されています。

 

 

 

温清飲』 ◇上半身にほてりがある人で精神不安がある人に ‐

温清飲は、気が逆上してほてりなどが身体に現れる「気逆」タイプに用いられる黄連解毒湯と、身体の血が乏しく栄養不足の状態である「血虚」タイプに用いられる四物湯という漢方薬の合方です。

 

口内炎は慢性胃炎などがある胃腸虚弱な人に現れることが多いですが、温清飲タイプの人は、漢方でいう「気」(パワー)が逆上して熱が胃腸にたまりやすくなってしまうことと、「血」の栄養がうまく作られず、全身に十分にいきわたらないため、皮膚や粘膜が弱くなってしまうことが原因です。

 

このタイプの人の舌には黄色い苔がついていることがあります。黄色い苔は胃腸に熱がたまっていることを意味します。漢方薬を服用するのであれば暴飲暴食は控えるようにしましょう。構成生薬の黄連、黄芩、黄柏、山梔子は身体の熱をさまし、気逆を改善します。地黄や当帰は血を補い、身体を温め全身へ巡らすことで皮膚への栄養状態をよくします。血を補うと、不安などの精神症状も改善します。

 

温清飲は胃腸虚弱の人にはおすすめできません。副作用として、肝機能障害、黄疸、消化器症状が記載されています。

 

 

『甘草湯』 ◇軽い口内炎に ‐

体質や体力にかかわらず使用でき、口内炎やのどの痛みによく効きますが、炎症はあくまで軽い状態であることが使用の目安です。

多くの漢方薬は、複数の生薬を組み合わせることにより薬効を期待したものですが、この甘草湯は甘草という生薬単味から成り立っています。甘草には炎症を抑えて痛みを鎮め、を出しやすくする特徴があります。

 

甘草湯を服用する場合は、特に他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。身体の浮腫みや血圧が上がるようなことがあれば、すぐに服用を止め専門家にしてください。また甘草湯は、あくまで頓服薬(痛いときだけ服用する)です。長く服用することは避けてください。アルドステロン症やミオパチー、低カリウム血症などがある方は服用できません。