頭や顔がカーっと熱くなってしまう「のぼせ」。

 

のぼせは「熱」が頭部や顔面部に移動することが原因で起こります。

 

この状態を治すために、漢方薬を検討し使ってみることで、症状が改善する方を経験します。

 

漢方薬は通常の状態からずれてしまった体の状態をもとに戻すお手伝いをする薬です。ですから、どのようにずれているのかという状態=証と呼びますが、体質や体の不調の状態を見極めて使わないと、期待する効果はなかなか得られません。まず熱が出る原因を見極めて、証にあった漢方薬を選ぶようにしましょう。

 

 

■のぼせの原因ー熱がたまること

 

のぼせの原因は熱がたまることによります。熱が上昇すると頭部や顔面部に熱が移動し「のぼせ」る

 

熱が出る原因にはさまざまなものがあり、外から熱そのものが体の中に入ってくることもあれば、外からの邪気(悪いもの)や体内でできた邪気により熱が出ることもあります。

 

「五気化火」といって、風、寒、湿、燥、暑という邪気は体の中に入って熱に変化します。

 

たとえば、風が寒をつれて体の中に入ろうとするとき体が邪気と戦って熱が出るのが、感冒で出る熱です。

 

また、気持ちの変化からも「五志化火」という熱が出ます。喜、怒、思、悲、恐といった感情です。

 

体の中に邪気(気滞、お血、痰飲、宿便、食積、虫)がたまることでも「邪鬱化火」として熱は出るのです。これらは熱が増えた「実熱」の状態です。

 

 

一方、熱には「虚熱」というものがあります。体は通常、陰と陽のバランスが保たれているのですが、なんらかの原因で陰が少なくなると陰虚の状態になります。

 

陰はからだを潤す働きがあり陽を抑えているのですが、陰虚になると相対的に陽が陰よりも多くなってしまい「虚熱」が出るのです。
実熱でも虚熱でも「熱」を上昇する性質があります。熱が上昇すると頭部や顔面部に熱が移動し「のぼせ」の状態になっていきます。ですから、このような「熱」の原因にあわせて漢方薬を選んでいきます。

 

 

 

「加味逍遥散(かみしょうようさん)」

実熱によるのぼせ、「気鬱化火」にきく漢方薬

体の中には「気」という生命活動のエネルギー源がたくさん存在します。

 

この気はいずれの方向にも動くもの(動けるもの)ですが、気が体の中でどの方向にも動けなくなる「気鬱」になると「気鬱化火」として熱が生じます。このようなときに適する漢方薬が「加味逍遥散(かみしょうようさん)」です。

 

加味逍遥散に含まれる柴胡(さいこ)に解鬱作用があり気鬱を治しますが、含まれている牡丹皮(ぼたんぴ)や山梔子(さんしし)には熱を冷ます作用があります。熱も冷まして気鬱という原因も治す漢方薬です。加味逍遥散がのぼせに効くときには、ストレスがあってイライラしたり、両脇に張る感じがあることが多いので、それを目安にするとよいでしょう。

加味逍遥散について

 

知柏地黄丸(ちばくじおうがん)

■虚熱によるのぼせ「陰虚火旺」にきく漢方薬

夕方から夜にかけて微熱が出たり手のひらや足の裏がほてる、寝ているときに汗をかく、舌を見ると赤くて舌苔がないなどが、この漢方薬がきく「のぼせ」の状態です。

 

陰虚で体の中の陽が抑えられなくなると「陰虚火旺」という熱が出る状態になります。このようなときに適する漢方薬が「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」です。陰を補う「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」に知母(ちも)や黄柏(おうばく)という熱を冷ます生薬が加わっています。熱も冷まして陰虚という原因も治す漢方薬です。

 

知柏地黄丸について

 

のぼせを治す漢方薬2種を紹介いたしました。いずれも漢方薬を販売している薬局で購入することができる漢方薬です。このほかにも、体の状態を通常に戻すということをポイントに漢方薬を選ぶことで、のぼせの改善が期待できます。

 

自分の体の状態を自分で判断することは難しいかもしれません。専門の医師・薬剤師に相談してみるのがよいでしょう。漢方専門の薬局の中には、体に合わせた漢方薬を用意できるところもあります。さらに漢方に詳しい医師でしたら、個々の体の状態にあわせてオーダーメイドの処方をしてくれる場合もあります。

 

漢方薬は証にあわせて使うことが肝要です。証にあわせて使うという基本を頭に置いて「のぼせ」を治していきましょう。