透析中に起こる足攣り症状と原因

透析とは慢性腎不全などで腎機能が高度に低下し、老廃物や水分を体外に排出することができなくなった腎臓の代わりに行う治療法です。シャントと呼ばれる血管から血液を取り出し、透析回路と呼ばれる老廃物や余分な水分を取り除く装置に通して再び体内にもどす「血液透析」と、血液中の老廃物や水分を腹腔内に入れた透析液中に腹膜を通して移す「腹膜透析」があります。

 

血液透析を行なうと体内の老廃物や水分が速やかに除かれ、電解質のバランスが急に変化するため、透析中や透析後に様々な症状が現れることがあります。また、透析で取り除ききれない老廃物もあり、『変化』と『取り除ききれないこと』を原因とした様々な症状が出現します。足の攣りもその一つで、脱水や電解質の低下による筋肉の収縮・痙攣が原因と考えられています。その他として血圧変化や頭痛、吐き気、倦怠感、皮膚のかゆみなどの症状が起こることがあります。

 

 

透析中の足の攣りの対策

透析中や透析後に足の攣りが起こる場合の対策には次のようなものがあり、原因や症状の強さなど状況に応じて行われます。

 

・患部を温めたりマッサージを行う。

・急に体を動かさないようにする。

・継続的なストレッチを行ない筋肉の柔軟性を高める。

・食事・水分摂取に気を付け体重が増え過ぎないようにする(体重が増えると透析で除く水分の量が増え筋肉の攣りを起こしやすくなるため)。

・透析時の設定体重や透析時間などの見直し。

・カルシウムやナトリウムを透析時に使用する。

・カルニチン(筋肉の攣りに効果があるアミノ酸の一種)の投与(内服・静注ともにあり)

 

 

透析の足攣りに効果的とされる漢方薬治療

透析中の足の攣りには、筋肉の痙攣やひきつりを和らげる作用や、攣りを起こしやすくなる冷えの状態を改善する作用がある漢方薬が有効と考えられます。近年では透析治療の現場でも漢方薬が注目されていて、様々な症状に対する効果の報告が見られています。ただし、腎不全の方は各種類の薬剤に対して調整をされているように、主治医が各薬に関して注意しながら使用しているケースが多いです。そのため実際には透析主治医と相談、または使用して良いか透析主治医に確認をする必要があります。

 

芍薬甘草湯・・・筋肉の痙攣やひきつけを抑えて痛みを緩和する作用があります。筋肉の収縮弛緩に関係がある「肝」の機能を高めることで鎮痙・鎮痛効果を現わすもので、消化器系(平滑筋)の痙攣による腹痛などにも効果があります。即効性があり頓服で使用することが多い漢方薬です。透析時の足の攣りにもよく使用されていて、透析開始前に服用することで症状が消失または軽減した例が数多く報告されています。

 

牛車腎気丸・・・泌尿器や足腰など下半身の機能に関係する「腎」の働きを補い、体に温める力をつけ、水はけを良くする作用があります。透析患者以外にも腎機能が低下した高齢者のこむら返りに対する有効例が多く見られる漢方薬です。むくみや血圧上昇などの副作用で芍薬甘草湯の使用を控えたい場合にも使いやすい処方です。また糖尿性腎症における、しびれなどの末梢神経障害にも効果が証明されています。

 

攣り以外の透析中の症状に効果的な漢方薬を参考にご紹介します。

 

当帰飲子・・・透析の患者さんによく起こる、皮膚の乾燥や痒みに効果的な漢方薬です。血を補って体に栄養を与え、皮膚などの乾燥した状態を潤す作用があります。主に体力が弱く冷えがある人の乾燥した湿疹や痒みに用いられます。アトピー性皮膚炎や老人性掻痒症にもよく使われる処方です。

 

補中益気湯・・・透析治療を長く続けることで体力が落ちている人に対して、「気(元気、気力など活動エネルギーとなるもの)」や「血(血液や体に栄養を運ぶ血液の役割)」を補う漢方薬が用いられることがあります。

 

補中益気湯には胃腸の働きを良くして気を補い、食欲不振や疲労倦怠感を改善する作用があります。気の不足以外に、貧血傾向や皮膚の乾燥など血の不足も見られる場合は十全大補湯が効果的です。