■筋肉痛とは

筋肉痛とは、筋肉の痛みのことです。一番多い原因は運動で、特に普段使わない筋肉を使い過ぎた時などによく起こります。

 

筋肉痛の起こるしくみは、以前は乳酸という疲労物質が蓄積することが原因といわれていました。しかし最近では、運動によって傷ついた筋繊維を修復するときに生産される刺激物質(ヒスタミン、プロスタグランジンなど)が、筋膜を刺激して起こる痛みであるという説が有力となっています。

 

最近では運動以外でも筋肉の痛みに悩む方は増えており、病気が原因で起こるものから、体質的な原因まで、様々な原因で起こり、しばしば治療として漢方薬が著効する場合があります。

 

 

■運動以外の筋肉痛の原因

 

筋肉痛の原因となる病気や状態の解説をします。

 

 

・多発性筋炎・皮膚筋炎

筋肉の炎症により筋肉に力が入りにくい、疲れやすい、筋肉の痛みなどの症状が起こる病気です。また手指の関節や肘・膝の関節、上眼蓋などに特徴的な皮膚症状が見られるものを皮膚筋炎と呼びます。自己免疫疾患である膠原病の一つで、筋肉や皮膚を免疫力が攻撃しているのが原因です。治療は副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤などによる薬物療法が中心となります。

 

・リウマチ性多発筋痛症

他に原因のない肩や腰周囲の筋肉痛を起こす病気で、関節リウマチとは異なります。原因はよく分かっていませんが、膠原病疾患の合併症が知られていることから、免疫異常などの共通点があるとの考えもあります。

 

・インフルエンザによる筋肉痛

インフルエンザに感染すると、ウイルスの侵入を脳に伝えるサイトカインという物質が白血球から分泌されます。このとき共に生成される、プロスタグランジンという痛みを出す物質のために、筋肉痛や関節痛が起こります。インフルエンザなどの高熱時にはより多くのプロスタグランジンが生成されるため、ふつうの風邪の発熱時より筋肉痛などが起こりやすくなります。

 

 

 

 

■筋肉痛のケア

 

 ・痛みが強い時は冷やし、落ち着いたら温める

運動直後や筋肉痛の痛みがまだ強い間は、冷やして筋肉の炎症を鎮めます(アイシング)。1回あたり20分程度のアイシングを、1日数回行います。凍傷にならないよう冷やし過ぎに注意します。

痛みが落ち着いてきたら、お風呂などで温めて血行を良くします。入浴後のストレッチも効果的です。

 

・栄養と休養をしっかりとる

筋肉を修復するためのタンパク質(肉、魚、大豆製品など)や、疲労回復効果があるビタミンB群(豚肉、うなぎ、ニンニクなど)、クエン酸(レモン、梅干しなど)を意識して摂ると筋肉痛の回復に効果的です。

また睡眠をとることで分泌される成長ホルモンには、新陳代謝を活発にし、疲労回復や身体を修復する作用があります。十分な睡眠をとることも筋肉痛の解消には大切なことです。

 

 

効果的な漢方薬治療と対策

 

漢方において筋肉痛は、なんらかの原因で気血の流れが滞ったり、気血の不足により筋肉がきちんと働けなかったりすることで起こると考えられます。「通じざれば、すなわち痛む」というもので、筋肉痛以外の痛みについても同じように考えられています。

原因となる状態としては、「冷え」や体の余分な「水分」、患部が炎症を起こして「熱」をもっている、「血の滞り(お血)」や「気の滞り(気滞)」、「気血の不足(気虚、血虚)」などがあります。これらの状態を改善する漢方薬を、体質などに合わせて使用します。

 

・芍薬甘草湯・・・筋肉のひきつった状態や、痛みを緩和する効果があります。肝の働きを良くし、気を回復させる作用がある漢方薬です。比較的体質を選ばず使用できます。

 

・疎経活血湯・・・血行を良くして体の余分な水分をとり、痛みをとる効果があります。患部の血流を改善し、お血が原因となる筋肉痛に有効な処方です。冷えると痛むような場合に使用する漢方薬なので、筋肉痛の炎症が落着いたころに服用します。特に腰から下の症状に用いられます

 

・葛根湯・・・体の表面に冷えや風邪が入り込んで(風寒)起こる症状に効果的な漢方薬です。筋肉のけいれんやこわばりを緩和する生薬が配合されていて、風邪だけでなく筋肉のこりや痛みにも用いられます。上半身、特に首から上の症状によく効きます。比較的体力があり、自然発汗がないことを目標に使用します。

 

・麻黄湯・・・葛根湯と同じような作用をもちますが、より体力がある人に使用します。インフルエンザなどの熱が出る風邪の初期に用いられ、体の節々や筋肉の痛みにも効果を発揮します。強い発汗作用があり、体力のない人に使用すると汗をかきすぎて弱ってしまう(津液不足)ので注意が必要です。