ひび、あかぎれ、しもやけは、冬によくみられる皮膚の症状でかゆみや痛みを伴います。

 

皮膚科では、血行促進効果のあるビタミンEなどを含んだ内服薬や軟膏が処方され、患部の炎症が強い場合はステロイド薬が使われます。暖かくなれば治りますが、毎年繰り返す人が多いようです。

 

これら症状の原因をひとことで言えば「身体の冷え」でしょう。外気の気温が下がると、内臓の動きが悪くなり、身体全身に巡る血管が収縮し、血液が手足やなどの末端まで流れにくくなります。

 

漢方の「気・血・水」でいうと「血」が巡らない状態です。これに加え、普段から季節問わず胃腸を冷やすような食品や飲み物を多くとる、おしゃれのために薄着をする、下着などで身体を締め付ける、睡眠時間が短いなどの生活をしている人は「気」や「血」の不足を伴い、更にしもやけなどになりやすい状態となります。

 

真冬でも室内は常に温かく保たれ快適に過ごせる現代では、もともと人間に備わっている環境に適応するための体温センサーが鈍くなり、少しの温度変化にも耐えることができない虚弱な身体になっています。こういった環境要因を個人で改善することはなかなか難しいことですが、その季節に合った食事をとり、身体を中から外から温めるようにし、日照時間の短い冬はその分だけゆったり過ごすように心がけることで、寒さに負けない身体が作れます。

 

もし漢方薬を使用する場合は、身体を温める漢方薬を体質に合わせて選び、これらの養生を同時に行いながら服用することで、薬の効きめがよくなり治りが早くなります。まずは日々の生活を振り返り、寒さに負けない身体作りをしていくことが大事です。

 

 

【ひび・あかぎれ・しもやけにおすすめの漢方薬】

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯』◇しもやけのファーストチョイス‐

普段から身体に強い寒気があり、手足は常に冷たく赤くなるほどで、毎年しもやけが出来るようなやせ型の人に当帰四逆加呉茱萸生姜湯は適しています。

 

このタイプの人は「陰証」といって、舌をみると白い苔が全く無く湿ってつるっとしており、これは冷えが身体の内部まで入り込んでしまっている状態であることを表しています。

 

冷えきった身体は、血液を全身へ巡らす力が無いため、心臓から一番遠い手足に十分な栄養や体温が行きわたらないことから、しもやけが現れます。構成生薬のほとんどが強く身体を温めるものであり、血を補う生薬とともに冷えによるしもやけなどの辛い症状を改善します。

 

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また胃腸が著しく弱い人は服用に注意が必要です。副作用としてミオパチー、肝臓機能異常、消化器症状などが記載されています。

 

 

温経湯』 ◇月経不順や不眠がある人に‐

くちびるや手のひらから手の先などに、ひびやあかぎれ、しもやけが現れる人に温経湯は適しています。体力的にはやや虚弱で、気虚(パワー不足)があり、身体に冷えはあるけれど手のひらにはほてりがあり、月経不順や更年期障害、不眠などの症状を伴うことが多いのが特徴です。

 

温経湯には、婦人科疾患にたびたび使われる当帰芍薬散や、芎帰膠艾湯、桂枝茯苓丸などの一部分が含まれており、これらは補血(血を補う)や、活血(血の滞りをなくす)の作用があります。また麦門冬や阿膠、人参などの滋潤剤(肌を潤す生薬)も含まれており、これらが身体にバランスよく水分を与え皮膚の潤いを保ち、手のひらのほてりを改善します。

 

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。副作用として消化器症状などが記載されています。

 

当帰芍薬散』 ◇冷えてむくみがある人に‐

腰や足に冷えがあり、体力的にはやや虚弱でむくみやすい人のひび・あかぎれ・しもやけに当帰芍薬散は適しています。色白の女性で、疲れやすく、肩こりや頭痛、めまい、月経不順などを伴い、舌をみるとボテっと大きく、舌の両フチに歯の痕(歯痕)がみられることが特徴です。

 

血と水が滞る「瘀血」、「水滞」に加え、血が不足している「血虚」を伴う複雑な状態であるため、当帰芍薬散は水の滞りを改善させる茯苓、蒼朮、沢瀉、血を補う当帰、芍薬、瘀血を改善する川芎が、それぞれバランスよく配合されています。

 

胃腸が著しく弱い人は服用に注意が必要です。副作用として肝臓機能異常、消化器症状などが記載されています。

 

四物湯』 ◇普段から肌の乾燥が強いに‐

血そのものの量や質が悪く、巡りが悪いため皮膚に十分な栄養が行き届かない状態を漢方では血虚といい、四物湯は血虚の第一選択薬となります。名前のとおり4つの生薬で構成されており、血を補いつつ全身に巡らせることで、皮膚に栄養と潤いを与え、身体の冷えを改善します。ただし、不眠やイライラなど精神的な不調を伴う場合は、四物湯ではなく、他の補血剤を検討することをおすすめします。

著しく胃腸の虚弱な人、食欲不振や悪心、嘔吐がある人は使用を控えてください。

 

『紫雲膏』◇ひび・あかぎれ・しもやけの外用薬‐

漢方を内服するのと併用して、紫雲膏を使用することもおすすめします。患部の熱や痛みを取り、化膿を防ぎ皮膚を保護して治りを早めます。患部を清潔にしてからガーゼ又は脱脂綿に紫雲膏を塗布し、患部に貼りつけてください。