舌の先や舌のふちが、舌を動かしたときや食べ物に軽く触れるだけで、ピリピリと痛む舌痛症については、精神的ストレスなどが関係することが多いと言われています。もちろんビタミンや鉄分など、口内を健康に保つための栄養不足が痛みやあれを悪化させる要因になっていることもあります。

 

漢方では口内の不調は「脾胃」(胃腸)の健康状態に関係があるとされています。甘い物、脂っこいものを食べ過ぎた翌日、舌があれたり口内炎ができてしまった経験は誰でも一度はあるのではないでしょうか。もともと胃腸が弱い人なら、過食など食事の乱れがなくても、食べ物を消化し吸収して栄養にする力が弱っているので、常に口内炎ができやすい状態にあるといえます。

 

いずれにせよ、舌の痛みや炎症が強く長引く場合は、口腔歯科や口腔内科などを一度受診されることをおすすめします。漢方薬については、食生活の乱れやバランスの偏りが無いか、胃腸がもともと弱いか、精神的ストレスがあるか、過労や不眠が続いていないかなどを考慮した上で、自分の体質や体力に合った薬を選ぶのがよいでしょう。

 

【舌の痛み、あれにおすすめの漢方薬】

加味逍遥散』 ◇「イライラ」や「怒りやすい」など感情コントロールが難しい人の舌の痛みに ‐

口内炎ができたり、あれたりしていないのにも関わらず、舌がピリピリと痛む人で、常に精神的ストレスを抱えている人に加味逍遥散は適しています。普段から神経過敏でイライラしたり、人から批判などを受けると心が乱れたりするタイプで、疲れやすく、肩こりや月経痛、冷えなどがある人におすすめです。

 

これらの症状は、漢方でいう「気」(パワー)と「血」に滞りに原因があると考えられています。構成生薬の薄荷(はっか)が持つ清涼感には、筋肉の緊張や痛み緩めたり、発汗やクールダウンの作用があるため、身体の中で滞っている気を巡らせる働きがあります。また柴胡にも身体の熱を冷まし気を巡らす作用があります。血に関しては牡丹皮の「活血」作用で血の滞りを改善します。

 

加味逍遥散は主に女性に使われる漢方薬ですが男性にも使えるので、同じような症状があれば遠慮なく相談してみてください。

 

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として、間質性肺炎や肝機能障害、消化器症状、発疹などが記載されています。

 

 

清心蓮子飲』 ◇倦怠感があり、口内が乾きやすい人の舌の痛みに ‐

口内炎ができたり、あれたりしていないのにも関わらず、舌がピリピリと痛む人で、身体にほてりがあり口の中や舌が乾き気味の人に清心蓮子飲は適しています。普段から倦怠感があり、食後はいつも眠たくなる、残尿感や尿が出にくい、心配事が多く安眠できないなどといったタイプにおすすめです。

 

これらの症状の原因は、漢方でいう「気」(パワー)と「水」の不足があると考えられています。構成生薬の中に人参と黄耆が含まれているものを参耆剤(じんぎざい)といい、清心蓮子飲はこの参耆剤のひとつで気を補う作用があります。さらに蓮肉にも滋養強壮や心の不安を取り除く「安神」作用があるため、身体に元気をつけて気分をを安定させます。

 

麦門冬は漢方では「滋陰」の作用があり、身体の血液や体液が枯渇してしまったために、身体にほてりや渇きが現れた状態を潤し改善します。

 

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として、間質性肺炎や肝機能障害、ミオパチー、黄疸などが記載されています。

 

半夏瀉心湯』 ◇繰り返す舌のあれや口内炎に ‐

半夏瀉心湯は体力中等度で慢性的な胃炎などの症状があり、口内炎を繰り返すタイプに適しています。精神的なストレスをかかえていることが多いと、過食や不眠などで口内炎が悪化するケースがあります。慢性的に胃炎がある人は、まずは胃炎の改善に漢方薬を使うことで、口内炎が改善することもあります。

 

六君子湯や平胃散、胃苓湯など、慢性胃炎に使われる漢方薬は数多くあるため、体調や体質を考慮して選ぶとよいでしょう。半夏瀉心湯には炎症を抑える作用のほか、イライラなどの精神症状の改善も期待ができます。

 

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として、間質性肺炎や肝機能障害、消化器症状、発疹などが記載されています。

 

 

立効散』 ◇舌のあれや炎症を、いま和らげたい人に ‐

実際舌があれていたり、口内炎ができていて痛みを伴う場合に服用します。立効散は口の中の痛みを改善する代表的な漢方薬です。構成生薬である升麻には炎症を抑える作用と腫れや化膿を改善する作用があり、細辛には局所麻酔のような作用があるため、痛みや炎症を抑えます。

 

実際口に含むと、細辛独特のピリピリしたしびれのような感覚が広がります。このピリピリ感が痛みを和らげる大事な効能のひとつなのです。服用のポイントとしては、薬を口の中に含んだらすぐ飲み込まずに、痛みのある部分に薬が浸るよう意識し、しばらくそのままにしておきます。5分くらい経ったら飲み込みます。立効散は内服薬ですが、このように患部に対しての外用薬的な役割もあります。

 

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。