当帰四逆加呉茱萸生姜湯の特徴

冷えた体を温める作用があります。下半身、とくに足先が冷える人や、しもやけができやすい人に適しています。さらに、冷えによる下腹部の痛みをとる効果があります。また、かぜをひいたときや、頭痛、腰痛、神経痛にも用いられます。

 

西洋医学では、冷えに対して関心が薄く、風邪による解熱鎮痛薬は、患部を冷やし、体温を下げてしまい。かえって体調を崩してしまいかねません。こういった場合、体をあたためる効果のある漢方薬を併用すると非常に効果的です。

 

名前の通り、「当帰四逆湯」に、「呉茱萸」と「生姜」を加えたものです。「四逆」とは四肢の冷え症状をあらわします。

 

冷えを温める漢方薬はいくつかありますが、冷える部位によって漢方薬を使い分けることがあります。たとえば、しもやけなどの手足の冷えには当帰四逆加呉茱萸生姜湯、心窩部の冷えには人参湯(ニンジントウ)、腰から下の冷えには午車腎気丸(ゴシャジンキガン)、苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)が使われています。

 

中国・漢時代の「傷寒論(ショウカンロン)」に記されています。

 

次のような人に有効です。

・体力は虚弱
・冷え性
・吐き気がある
・腰痛、下腹部痛がある
スポンサーリンク

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の作用・効果

当帰(トウキ)と芍薬(シャクヤク)は、血を補い、血行を改善する作用があります。

 

呉茱萸(ゴシュユ)、細辛(サイシン)、桂皮(ケイヒ)は体を温め、痛みを止める作用があります。木通(モクツウ)は熱をさまし、利尿作用があります。大棗(タイソウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)は、胃腸を助ける作用があります。

 

冷え性の要因としては、貧血、低血圧、自立神経失調、性ホルモン異常、甲状腺機能低下症などがありますが、多くの場合、原因を明らかにすることはできないまま、ということもあります。西洋医学では、ビタミンCやビタミンEで血管の機能を高めたり、血行を改善したり、性ホルモンの分泌を調整するくらいしか治療法はありません。

 

一方、東洋医学では、冷え性は、血のめぐりが悪くなることによって起こると考えられています。したがって、血のめぐりをよくする漢方薬に加え、水はけや気のめぐりをよくする漢方薬で治療をしていきます。それによって、症状の改善を自覚する方が一定数いることを経験します。

 

片頭痛に対する当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効果

国際頭痛学会にて、片頭痛患者さん23人を対象に行った研究で、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の投与により片頭痛患者の78%で発作頻度が改善した、という報告があります。

 

間欠性跛行に対する当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効果

腰部脊柱管狭窄症などの間欠性跛行(歩き始めると、しばらくするとすぐに疲れてしまう)という症状に対し、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効果が3.4ヶ月すると効果が出た、という報告があります。閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行にも使用され、ともに効果を発揮します。

 

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の成分・効能

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、下記の9種類の生薬からなります。

 

・当帰 (トウキ) :セリ科のトウキの根を湯通ししてから乾燥させたもの。薬効は、「血(ケツ)」の不足を補い、巡りを良くします。

・桂皮 (ケイヒ) :クスノキ科のニッケイの根を乾燥させたもの。薬効は、「気」の巡りをよくし、発汗によって体表の毒を除く働きがあります。解熱作用、鎮静作用、血行促進作用、抗血栓作用があります。

・芍薬 (シャクヤク) :ボタン科のシャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、「血(ケツ)」のめぐりをよくする作用があります。さらに筋肉のけいれんを鎮めたり、鎮痛作用もあります。

・細辛 (サイシン):ウマノスズクサ科のウスバサイシンの根茎と根を乾燥させたもの。薬効は、痛みを鎮め、体を温める作用があります。

・呉茱萸 (ゴシュユ) :ミカン科ゴシュユまたはホンゴシュユの未熟果を軽く湯通しして乾燥したもの。薬効は、健胃作用、鎮痛作用、利尿作用があります。

・生姜 (ショウキョウ) :ショウガ科のショウガの根茎をそのまま乾燥させたもの。薬効は、体を温め消化機能を整える作用があります。

・木通 (モクツウ) :アケビ科のアケビまたはミツバアケビのつる性の茎を横切りにして乾燥したもの。薬効は、利尿作用、抗炎症作用があります。

・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実。料理にも使われるナツメの実です。薬効は、胃腸の機能を整えたり、精神を安定させたりする作用があります。

・甘草 (カンゾウ) :マメ科の甘草の根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和作用、緊張を緩める作用があります。

 

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の副作用

 体力があり、暑がりの人は適しません。

 

胃腸が虚弱で、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などを起こしやすい人は慎重に用いるようにします。

 

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

肝障害や、下痢、胃の不快感、食欲低下などの副作用の報告もあるためそれらには注意が必要です。

 

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の服用方法

ツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。

 

基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、体を温める「散寒剤」ですので、お湯で服用するとより効果的です。