1. 温経湯の特徴

虚弱なタイプの人の月経不順、月経困難症、更年期障害などの婦人科系の疾患に用いられる漢方薬です。証としては、手足がほてり、唇が乾燥している人に効果が高いとされております。卵巣の機能をコントロールし、ホルモンのバランスを整える働きがあるため、不妊症の治療に応用されます。

 

女性器の冷えがもとで、下半身が冷えることにより、下痢や帯下、下血が生じ、反対に、上半身に熱がこもり唇の乾燥が生じるといった症状のための処方で、経を温めるという意味で温経湯と名づけられました。

 

中国・漢時代の「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。

 

次のような人に有効です。

・体力が低下している
・唇が乾燥する
・手のひらのほてりがある
・月経異常がある

 

 

  1. 温経湯の作用

麦門冬(バクモンドウ)、阿膠(アキョウ)、芍薬(シャクヤク)は体液と血を補う作用があります。

 

半夏(ハンゲ)、生姜(ショウキョウ)は胃腸の働きを助ける作用があります。

 

当帰(トウキ)、牡丹皮(ボタンピ)、川芎(センキュウ)は血行を促進する作用があります。

 

呉茱萸(ゴシュユ)、桂皮(ケイヒ)は体を温める作用があります。

 

人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)は胃腸の働きを助け、体力を増進する作用があります。

 

 

  1. 温経湯の成分

温経湯は、下記の12種類の生薬からなります。

 

・麦門冬(バクモンドウ):ユリ科ジャノヒゲの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、咳を止める作用があります。

・半夏(ハンゲ):サトイモ科カラスビシャクの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、痰や咳を止め、吐き気を抑える作用があります。

・当帰(トウキ): セリ科トウキの根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痛みを止める作用や、調和作用があります。

・桂皮(ケイヒ):クスノキ科カツラの木の樹皮。薬効は、体を温め、痛みを止め、血行を改善する作用があります。

・芍薬(シャクヤク):ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・川芎(センキュウ):セリ科センキュウの根茎を乾燥させたもの。薬効は、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・人参(ニンジン):ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能、体力を増進し、消化を助ける作用があります。

・牡丹皮(ボタンピ):ボタン科ボタンの根を取り巻く皮の部分。薬効は、熱を取り、血液循環を良くする作用があります。

・呉茱萸(ゴシュユ):ミカン科ゴシュユの果実。薬効は、腹を温め、吐き気を抑え、痛みを止める作用があります。

・生姜(ショウキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。薬効は、腹部を温め、発汗させ、嘔気を止める作用があります。

・阿膠(アキョウ):ウマ科ロバの皮、骨から取れる膠。薬効は、血を補い、止血作用があります。
 

  1. 温経湯の副作用

配合生薬の牡丹皮は子宮内膜の充血作用があり、妊娠している人が服用すると、流産・早産の危険性があるため、服用する場合は、主治医に相談してください。

 

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

 

  1. 温経湯の服用方法

ツムラ温経湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

参考文献

・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)