1. 当帰湯の特徴

背中に寒冷を感じ、血色も悪く、体力がない人で、水おちが痛んだり、胸から背中にかけて痛む場合に用いられる漢方薬です。肋間神経痛、仮性狭心症に応用されます。

 

中国・唐時代の「千金方(センキンホウ)」に記されています。

 

 

次のような人に有効です。

・背中に冷感を感じる
・胸から背中にかけて突き抜けるような痛みを感じる
・腹部膨満感を感じる

 

※ただし、病院でしっかりとこの痛みの原因を調べる必要はあります。大動脈解離や狭心症や心筋梗塞など、上に上げられるような痛みの中には、非常に怖い病気が隠れている場合があるためです。糖尿病や女性や糖尿病の方などは、痛みを感じる感覚が低下しているため、実は重たい病気でも軽い症状に感じる方も居ますので、さらに注意が必要です。

 

  1. 当帰湯の作用

当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)は血を補い、痛みを和らげる作用があります。

 

人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、甘草(カンゾウ)は体力を増進する作用があります。

 

桂皮(ケイヒ)、山椒(サンショウ)、乾姜(カンキョウ)は胃腸を温め、痛みを止める作用があります。

 

半夏(ハンゲ)、厚朴(コウボク)は気を巡らせる作用があります。

 

 

  1. 当帰湯の成分

当帰湯は、下記の10種類の生薬からなります。

 

・当帰(トウキ):セリ科トウキの根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・乾姜(カンキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を蒸して乾かしたもの。薬効は、肺や腹を温める作用があります。

・人参(ニンジン):ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進させる作用があります。

・山椒(サンショウ):ミカン科サンショウの果皮を乾燥させたもの。薬効は、腹を温め、腹痛を止める作用があります。

・半夏(ハンゲ):サトイモ科カラスビシャクの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、痰や咳をおさえ、吐き気を抑える作用があります。

・桂皮(ケイヒ):クスノキ科カツラの木の樹皮。薬効は、体を温め、痛みを止める作用があります。

・厚朴(コウボク):モクレン科ホオノキの樹皮。薬効は、胃もたれ、吐き気、咳、イライラを抑える作用があります。

・芍薬(シャクヤク):ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、消化を整え、痛みを止める作用があります。

・黄耆(オウギ):マメ科キバナオウギの根を乾燥させたもの。薬効は、気を補い、汗を止め、腫れを抑える作用があります。
 

  1. 当帰湯の副作用

配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

 

  1. 当帰湯の服用方法

ツムラ当帰湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方重要処方60(万来舎)