桃核承気湯の特徴

比較的体力がある方の、月経前後の不調などに用いられる漢方薬です。血行障害うっ血を改善する目的で処方される漢方薬です。また、承気とは気をめぐらすという意味で、気をめぐらせることで腸の動きを活発にし便通をつけたり、不安やイライラをしずめ、気分を落ち着かせる目的でも使用されます。また、女性特有のホルモンのバランスを整えるために使う場合もあります。具体的には、頭痛、イライラ、不安、不眠、月経異常や更年期障害、月経時や産後の精神不安の治療に用いられています。

 

また、血液の循環が悪いことが原因で起こる、腰痛、肩こり、関節痛、神経痛にも使用されます。さらに、高血圧の随伴症状の頭痛、肩こり、めまいなどや、糖尿病の合併症、脳血管障害の慢性期の症状の改善にも応用されています。

 

中国・漢時代の「傷寒論(ショウカンロン)」に記されています。

 

次のような人に有効です。

・体力がある(実証)
・のぼせて便秘しがち
・イライラ、不安、不眠がある

 

桃核承気湯の作用・効果

大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)は緩下作用があり、便通をつけたり、精神を安定させる作用があります。

 

桃仁(トウニン)は腸を潤し、血行を改善する作用があります。

 

桂皮(ケイヒ)は、体をあたためる作用があります。

 

甘草(カンゾウ)は炎症を抑え、他の生薬との調和作用があります。

 

不妊症に対する桃核承気湯の投与

機能性不妊に対する使用率の報告(産婦の世界34(増刊) : 135 ─ 140,1982)では、妊娠の成立をみた 165 例の報告における漢方薬の使い分け率を見た物の中で、当帰芍薬散 67 例(40.6%)、桂枝茯苓丸 30 例
(18.2%)、 女神散 23 例(14.0%)、四物湯 19 例(11.5%)、桃核承気湯 11 例(6.7%)で5番目に多く使用されていた、という報告があります。

 

乳腺症に対する桃核承気湯の効果

日本東洋医学雑誌 1992; 42: 415-8.では、乳腺症に対し桃核承気湯と桂枝茯苓丸の比較で、同じように作用するという報告があります。ただしこの研究では桃核承気湯の方が下痢が多く、桂枝茯苓丸が桃核承気湯から大黄と甘草を除いたものと捉えると使いやすいことから、体力が中等度の人や桃核承気湯で下痢をしやすい人には桂枝茯苓丸の方が向きます。

 

オピオイドで便秘がちな疼痛に対しての桃核承気湯

血瘀により凝り固まった、微小循環を整える作用があり、かつ下痢傾向となる漢方薬であるため、便秘がちで体力がある程度あり、ペインクリニックに通えるような方の癌性疼痛で、桃核承気湯が使用されることがあります。

 

 

桃核承気湯の成分

桃核承気湯は、5種類の生薬からなります。

 

・大黄(ダイオウ):タデ科のダイオウの根茎を乾燥させたもの。薬効は、便通を改善する作用、「気血(キケツ)」の過剰状態を解消して「熱」をさます作用があります。

・芒硝 (ボウショウ) :天然の結晶硫酸ナトリウム。薬効は、瀉下作用、緩下作用、血液凝固抑制作用があります。

・桃仁 (トウニン):バラ科のモモの成熟した種子を乾燥させたもの。薬効は、血液凝固抑制作用があります。月経困難や月経不順の調整に用いられています。

・桂皮 (ケイヒ) :クスノキ科カヅラの木の樹皮を乾燥させたもの。薬効は、身体を温め、痛みを止め、血液循環を改善し、動悸を抑える作用があります。

・甘草(カンゾウ) :マメ科のカンゾウの根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和の他、緊張を緩める働きがあります。

 

 

桃核承気湯の副作用

虚弱体質の人は適しません。

 

配合生薬の大黄(主な成分はセンノサイド)、桃仁(成分は青酸配糖体のアミグダリン)、芒硝(成分は硫酸ナトリウム)は、過量投与で腹痛、下痢、胃腸障害が起こる場合があります。さらに、子宮収縮作用、下腹部の充血作用があるので、下痢傾向の人や、妊娠している人には適しません。

 

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

 

桃核承気湯の服用方法

ツムラ桃核承気湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。