1. 滋陰至宝湯の特徴

咳止め・去痰作用のある「貝母(バイモ)」や「麦門冬(バクモンドウ)」が配合されており、体力が衰えている人の慢性の咳や痰、微熱が続く時に用いられる漢方薬です。気管支拡張症や、肺結核などに応用されます。

 

中国・明時代の「万病回春(マンビョウカイシュン)」の処方をアレンジしたものです。

 

次のような人に有効です。

・体力が衰えている
・咳や痰がでる
・食欲がない
・口が渇く
・微熱がある

 

 

  1. 滋陰至宝湯の作用

香附子(コウブシ)、柴胡(サイコ)、薄荷(ハッカ)はうつ気分を改善し、精神状態をよくする作用があります。

 

当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、麦門冬(バクモンドウ)は血や体液を補い、咳を止める作用があります。

 

貝母(バイモ)、知母(チモ)、地骨皮(ジコッピ)は体液不足から生じた熱をさます作用があります。

 

白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、陳皮(チンピ)、甘草(カンゾウ)は胃腸の働きを助け、痰の生成を抑える作用があります。

 

 

  1. 滋陰至宝湯の成分

滋陰至宝湯は、下記の13種類の生薬からなります。

 

・香附子(コウブシ):カヤツリグサ科ハマスゲの根茎を乾燥させたもの。薬効は、うつ症状を改善し、痛みを止める作用があります。

・柴胡(サイコ): セリ科ミシマサイコの根を乾燥させたもの。薬効は、炎症を抑え、ストレスを解除する作用があります。

・芍薬(シャクヤク):ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくし痛みを止める作用があります。

・知母(チモ):ユリ科ハナスゲの根茎を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き体液の産生を促す作用があります。

・陳皮(チンピ):ミカン科ウンシュウミカンの果皮。薬効は、消化を整え、痰や咳を鎮める作用があります。

・当帰(トウキ):セリ科トウキの根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・麦門冬(バクモンドウ):ユリ科ジャノヒゲの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、肺を潤して、咳を止める作用があります。

・白朮(ビャクジュツ): キク科オケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、水分の循環をよくする作用があります。

・茯苓(ブクリョウ): サルノコシカケ科マツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。

・貝母(バイモ): ユリ科アミガサユリの鱗茎。熱による痰を抑え、肺を潤して、咳を止める作用があります。

・甘草(カンゾウ): マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痛みを止める作用があります。

・薄荷(ハッカ): シソ科ハッカの葉。薬効は、熱を冷まし、ストレスを緩和する作用があります。

・地骨皮(ジコッピ): ナス科クコの根を乾燥させたもの。薬効は、肺や皮膚の熱をさます作用があります。

 

 

  1. 滋陰至宝湯の副作用

配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

 

  1. 滋陰至宝湯の服用方法

ツムラ滋陰至宝湯エキス顆粒によると、通常、成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

滋陰至宝湯は「清熱剤」ですので、お湯に溶かしたあと、冷やしてから服用するとより効果的です。

 

参考文献

・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・漢方相談ガイド(南山堂)