1. 当帰飲子の特徴

小柄で、冷え性の皮膚病で、皮膚がカサカサして痒みのある慢性湿疹の人に用いられる漢方薬です。高齢者の皮膚掻痒症や蕁麻疹にも使用されます。

 

中国・宋時代の「済生方(サイセイホウ)」に記されています。

 

 

次のような人に有効です。
・比較的体力がない人
・皮膚が乾燥してカサカサしている
・炎症や分泌物は少ない
・冷え性
・冬になると皮膚病が悪化する
・痒みがある

 

 

  1. 当帰飲子の作用

当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)、何首烏(カシュウ)は血を補い、かさつきや痒みを改善する作用があります。

 

防風(ボウフウ)、荊芥(ケイガイ)は湿疹を改善し、痒みを止める作用があります。黄耆(オウギ)は気を補い、皮膚を保護する作用があります。

 

疾梨子(シツリシ)はかゆみを止める作用があります。甘草(カンゾウ)は炎症を抑え、他の生薬との調和作用があります。

 

 

  1. 当帰飲子の成分

当帰飲子は、下記の10種類の生薬からなります。

 

・当帰(トウキ):セリ科トウキの根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・地黄(ジオウ): ゴマノハグサ科アカヤジオウの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくする作用があります。

・芍薬(シャクヤク): ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・川芎(センキュウ): セリ科センキュウの根茎を乾燥させたもの。薬効は、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・防風(ボウフウ):セリ科ボウフウの根を乾燥させたもの。薬効は、皮膚の湿疹を治し、痒みや痛みを抑える作用があります。

・何首烏(カシュウ):タデ科ツルドクダミの塊根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、痒みを止める作用があります。

・黄耆(オウギ):マメ科キバナオウギの根を乾燥させたもの。薬効は、気を補い、汗を止め、腫れを抑える作用があります。

・荊芥(ケイガイ):シソ科ケイガイの花穂。薬効は、皮膚の炎症を抑え、痒みを抑える作用があります。

・甘草(カンゾウ):マメ科の甘草の根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和の他、緊張を緩める働きがあります。

・疾梨子(シツリシ):ハマビシ科ハマビシの果実。薬効は、ストレスを解除し、痒みを抑える作用があります。

 

 

4.当帰飲子の副作用

配合生薬の地黄により、胃腸が虚弱な人が用いると、食欲不振、下痢などの胃腸障害が起こることがあります。

 

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

 

5.当帰飲子の服用方法

ツムラ当帰飲子エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

 

参考文献
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)