1. 神秘湯の特徴

小児喘息によく用いられる漢方薬です。喘息、気管支炎、肺気腫に応用されています。呼吸困難が強く、痰が少ない、不安症状がある人に効果的です。

 

麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)から石膏(セッコウ)を除いたものに、鎮咳去痰鎮静作用がある陳皮(チンピ)、厚朴(コウボク)、蘇葉(ソヨウ)を加え、さらに、胸部の炎症を抑え、強壮作用のある柴胡(サイコ)を加えた処方となっています。

 

浅田家方の「外台秘要方(ゲダイヒヨウホウ)」に記されています。

 

 

次のような人に有効です。

・体力は中くらい以上
・呼吸困難
・咳が強い
・痰は少ない
・不安が強い
・鼻水はない
・肩こり

 

 

  1. 神秘湯の作用

麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)は咳を止める作用があります。

 

厚朴(コウボク)、陳皮(チンピ)、蘇葉(ソヨウ)は気をめぐらせ、痰を取る作用があります。

 

柴胡(サイコ)は炎症を抑え、うつ気分を改善する作用があります。甘草(カンゾウ)は炎症を抑え、他の生薬との緩和作用があります。

 

 

  1. 神秘湯の成分

神秘湯は、下記の7種類の生薬からなります。

 

・麻黄(マオウ):マオウ科マオウの茎を乾燥させたもの。薬効は、発汗作用、気管を広げ、咳を止める作用があります。薬効は、発汗、鎮咳作用の他、気管支のけいれんを抑制する作用があります。交感神経や中枢神経を興奮させる作用のあるエフェドリン類が含まれているため、高齢者や心臓病・高血圧のある人には注意が必要です。

・杏仁(キョウニン):バラ科アンズの種子。薬効は、咳をとめ、腸を潤し、便通を良くする作用があります。

厚朴(コウボク):モクレン科ホオノキの樹皮を乾燥させたもの。薬効は、胃もたれ、吐き気、咳、イライラ感を抑える作用があります。

陳皮(チンピ):ミカン科ウンシュウミカンの果皮を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痰や咳を鎮める作用があります。

・甘草(カンゾウ):マメ科の甘草の根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和の他、緊張を緩める働きがあります。

柴胡(サイコ):セリ科ミシマサイコの根を乾燥させたもの。薬効は、炎症を抑え、ストレスを解除する作用があります。

蘇葉(ソヨウ):シソ科シソの葉。薬効は、皮膚を温め、発汗作用があります。また、胃腸の機能を改善する作用があります。

 

 

  1. 神秘湯の副作用

麻黄が含まれていますので、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、血圧上昇などの副作用が起こる可能性があります。高血圧や心臓病の既往歴のある人は注意が必要です。

 

麻黄を含む他の漢方薬、エフェドリン類含有製剤、MAO阻害薬、カテコールアミン製剤、キサンチン系製剤を服用している人の併用は注意してください。

 

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

 

  1. 神秘湯の服用方法

ツムラ神秘湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

 

 

参考書籍

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方薬・生薬の教科書(新星出版社)