補中益気湯の特徴

胃腸の働きをよくして体力を回復させ、元気を補います。体の疲れ、食欲不振、胃弱、夏やせ、こじれて長びくかぜ、痔、あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っているときに用います。

 

補中益気湯の「中」は胃腸をさし、「益気」には「気」を増すという意味があります。元気を補う漢方薬の代表的処方で「医王湯(イオウトウ)」ともよばれます。

 

補中益気湯にも柴胡が含まれていて、一種の柴胡剤です。

 

柴胡剤を体力の充実した人に適する漢方薬から順番に並べると、

①大柴胡湯→②四逆散→③小柴胡湯→④柴胡桂枝湯→⑤柴胡桂枝乾姜湯→⑥補中益気湯

となり、最も体力のない人に使える柴胡剤として分類されます。

 

中国・金時代の「弁惑論(ベンワクロン)」に記されています。

 

次のような人に有効です。

・虚弱で元気がない人
・食欲不振、全身倦怠感がある
・腹力が軟弱である
・脈に力がない

 

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補中益気湯の作用・効果

黄耆(オウギ)と人参(ニンジン)とは体力を増進し、免疫力を高める作用があります。

 

柴胡(サイコ)、升麻(ショウマ)は炎症を抑え、気を上に引き上げる作用があります。

 

蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)は水分循環をよくする作用や胃腸の働きを助ける作用があります。

 

当帰(トウキ)は血行をよくして貧血症状を改善する作用があります。陳皮(チンピ)は気をめぐらす作用があります。大棗(タイソウ)、生姜(ショウキョウ)甘草(カンゾウ)は胃腸を補う作用があります。

 

最近では、がん治療においても、術後の回復や、抗がん剤や放射線治療の副作用による全身倦怠感の軽減にも活用されています。

 

 

補中益気湯の成分・効能

補中益気湯は、下記の10種類の生薬からなります。

 

・人参 (ニンジン) :ウコギ科のオタネニンジンの根をそのまま、または湯通しして乾燥させたもの。薬効は、消化機能を高め、「気」の生成をますことにより、体力を回復させる作用があります。

・黄耆 (オウギ) :マメ科のキバナオウギ、ナイモウオウギなどの根を乾燥させたもの。薬効は滋養強壮作用があり、体内に滞った「水(スイ)」を除く作用があります。

・蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ):キク科のホソバオケラ(白朮はキク科のオケラ)の根を乾燥させたもの。薬効は、「水滞」の改善し体内の水分代謝を正常にする作用があ ります。さらに、消化機能を高める作用もあります。

・柴胡 (サイコ) :セリ科のミシマサイコの根を乾燥させたもの。薬効は、「熱」を冷まし、「気」のうっ滞を除く作用があります。

・当帰 (トウキ) :セリ科のトウキの根を湯通ししてから乾燥させたもの。薬効は、「血(ケツ)」の不足を補い、巡りを良くします。

・升麻 (ショウマ):キンポウゲ科のサラシナショウマの根茎を乾燥させたもの。薬効は、解熱作用、鎮痛作用があります。

・陳皮 (チンピ):ミカン科のウンシュウミカンなどの成熟果皮を乾燥させたもの。薬効は、「気」をめぐらし、整える作用があります。胃もたれ、嘔吐、食欲不振、かぜの症状の改善に用いられます。

・生姜 (ショウキョウ) :ショウガ科のショウガの根茎をそのまま乾燥させたもの。薬効は、体を温め消化機能を整える作用があります。

・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実。料理にも使われるナツメの実です。薬効は、胃腸の機能を整えたり、精神を安定させたりする作用があります。

・甘草 (カンゾウ) :マメ科のカンソウの根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和の他、緊張を緩める働きがあります。

 

 

補中益気湯の副作用

体力のある人には適していません。

 

配合生薬の人参により、体力のある人が服用すると、のぼせ、湿疹、蕁麻疹、皮膚炎の悪化などの症状があらわれる可能性があります。

 

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。

 

甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

浮腫や腹水で、利尿剤を使用することがあります。特に補中益気湯は、癌を持っていらっしゃる患者さんや手術後の患者さんに使用されることもおおく、むくみに対し利尿剤を併用している方も多いです。利尿剤は、カリウムを下げるタイプと上げるタイプと両方ありますが、先に(まず最初に)使用されることが多いのはカリウムを下げるタイプの利尿剤です。そのため、血液検査ではカリウムが低くなっていないか注意してみてみましょう。

 

 

補中益気湯の服用方法

ツムラ補中益気湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。

 

基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

 

参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・女性のための自分で選べる漢方の本(PHP)