1. 女神散の特徴

血行を改善し、のぼせを改善し、熱をさます作用があります。のぼせやめまいがある人の産前産後の神経症(イライラ感、不安や不眠など)、月経不順、更年期障害、自立神経失調症などに効果があります。

 

更年期障害で体がほてる(ホットフラッシュ)、のぼせる、といった方で、加味逍遥散があまり効かなかった、向いていなかったという方で、とても効果を実感される方がいます。

 

女性特有の症状によく効くことから、「女神」という名前が付きました。女性向けの漢方薬ですが、体質が同様の男性にも用います。

 

明治時代の浅田家方(アサダケホウ)の処方です。

 

次のような人に有効です。

・体力がある人
・のぼせやめまいがある
・精神不安、気鬱
・月経の異常がある

 

 

  1. 女神散の作用

香附子(コウブシ)、檳榔子(ビンロウジ)、丁子(チョウジ)、木香(モッコウ)は、気をめぐらせて精神を安定させ、胃腸の機能を改善する作用があります。

 

黄連(オウレン)、黄芩(オウゴン)は熱をさまして、イライラを抑える作用があります。桂皮(ケイヒ)は体を温める作用があります。

 

当帰(トウキ)、川芎 (センキュウ)は、血行をよくする作用があります。人参(ニンジン)、蒼朮(ソウジュツ)、甘草(カンゾウ)は体力を増進する作用があります。

 

更年期障害の一般的な治療は、女性ホルモン補充療法、精神安定剤、睡眠薬が処方されます。これらの治療方法に抵抗がある場合に、漢方治療が処方されます。

 

まずは、加味逍遥散(カミショウヨウサン)からはじまり、効果が感じられない場合は、女神散に変更するのが一般的です。
症状が日々変わる不定愁訴で悩む人には、加味逍遥散が向いています。そして、いつも同じ固定愁訴に悩む人には女神散が効果的です。

 

 

3.女神散の成分

女神散は、12種類の生薬からなります。

 

・当帰(トウキ) :セリ科のトウキの根を湯通ししてから乾燥させたもの。薬効は、「血(ケツ)」の不足を補い、巡りを良くします。

・川芎 (センキュウ):セリ科のセンキュウの根茎を湯通ししてから乾燥させたもの。薬効は、「血(ケツ)」と「気」の巡りをよくし、体のバランスを整えます。鎮静作用、鎮痛作用、補血作用、滋養強壮作用があります。

・香附子(コウブシ):カヤツリグサ科ハマスゲの根茎を乾燥させたもの。薬効は、うつ気分を改善し、痛みを止める作用があります。

・蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ):キク科ホソバオケラ(白朮はオケラ)の根茎を乾燥させたもの。薬効は、関節などの水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。

・桂皮(ケイヒ) :クスノキ科カヅラの木の樹皮を乾燥させたもの。薬効は、身体を温め、痛みを止め、血行を改善し、動悸を抑える作用があります。

・黄連(オウレン):キンポウゲ科オウレンの根茎を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、イライラや炎症を抑える作用があります。

・黄芩(オウゴン):シソ科のコガネバナの根の周りを除いて乾燥させたもの。薬効は、「熱」をさましながら、「水(スイ)」の滞りを除く   作用があります。

・人参(ニンジン) :ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進し、消化を補い、体液の産生を促進し、精神を安定にする作用があります。

・檳榔子(ビンロウジ):ヤシ科ビンロウの種子。薬効は、排便を促し、水分の循環をよくする作用があります。

・丁子(チョウジ):フトモモ科チョウジノキのつぼみ。薬効は、腹を温め、痛みを止める作用があります。

・木香(モッコウ):キク科モッコウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、腹痛を止め、下痢を止める作用があります。

・甘草(カンゾウ) :マメ科ウラルカンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、のどの痛みを止める作用があります。

 

 

4.女神散の副作用

体力の虚弱な人は適しません。

 

配合生薬の人参により、のぼせ、湿疹、蕁麻疹、皮膚炎の悪化などの症状があらわれる可能性があります。

 

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

5.女神散の服用方法

 

ツムラ女神散エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5 gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください

 

基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。女神散は、熱をとる「清熱剤」ですので、お湯で溶かしたあと、少し覚めてから服用するとより効果的です。

 

 

参考文献
・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・女性のための自分で選べる漢方の本(PHP)
・漢方は女性の健康をたすける(岩波書店)