白虎加人参湯の特徴

体の熱を冷まし、唾液を出させる作用があり、口が渇く、ほてりがある場合に効果があります。熱中症、腸チフスなどの熱病などに対する効果を持ちます。また糖尿病でのどが渇き、水を飲みたがることが多い、という場合にも応用されます。他にも、皮膚炎、蕁麻疹にも使用されます。

 

古代中国では、中国の四方を守る四神獣がありました。白虎は西方を守る金神です。東洋医学の五行説では、西は「秋」に通じ、秋は解熱に通じます。さらに、配合生薬の石膏が白色なことより、白虎湯と名付けられたと言われています。

 

中国・漢時代の「傷寒論(ショウカンロン)」や「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。

 

次のような人に有効です。

 ・体力がある人
 ・暑がりで汗が出る
 ・のどが渇く
 ・尿が多い

 

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白虎加人参湯の作用・効果

白虎加人参湯は、白虎湯に人参(ニンジン)を加えたものです。石膏(セッコウ)と知母(チモ)は、解熱作用、鎮静作用、止瀉作用、滋養作用があります。甘草(カンゾウ)、粳米(コウベイ)、人参(ニンジン)には、滋養強壮作用があります。

 

口渇(ドライマウス)に対する白虎加人参湯の効果

臨床では、神経科領域の内服薬の副作用で口が渇く症状(ドライマウス)の軽減に用いられたり、糖尿病の初期症状の口の渇きにも用いられています。ドライマウスに対する効果から、口臭対策として使用される場合もあります。

 

研究では、白虎加人参湯は舌下線という唾液分泌に関わる部分への神経活動が増え、これは投与後3時間持続する、という報告があります。(参考:Journal of the Autonomic Nervous System, 63:46~50, 1997)

 

シェーグレン症候群や糖尿病など、口渇症状(口の渇き)に対して効果の報告が多数あります。

 

小児の夜尿症に対する白虎加人参湯の臨床効果

夜尿症の小児64例に白虎加人参湯を使用した際、55%が夜間尿の回数が減少する有効率が得られたとの報告があります。(参考:2003年 小児疾患の身近な漢方治療)

 

 

熱中症に対する漢方薬としての白虎加人参湯の臨床効果

熱中症の予防として服用すると、30分から1時間ほどで、体の熱がひき口の渇きが抑えられる効果を実感できます。真夏の炎天下で作業をする時や、運動する時には、飲み物と一緒に予備として持っていると安心です。

 

熱中症という側面から白虎加人参湯を見てみると、石膏や知母は熱を冷ます生薬で、甘草や粳米は体液を潤し、人参は滋養強壮作用があるとされ、熱中症の改善に効果を有すると考えられています。

 

 

アトピー性皮膚炎に対する白虎加人参湯の効果

白虎加人参湯は、T細胞によると考えられるDTH(delayed type hypersensitivity:遅延型過敏反応)による接触性皮膚炎に対しての効果が実験的に確認されているほか、ヒスタミンの分離を押さえるなどI型アレルギー反応に対する反応も押さえるという報告があり、機序ははっきりしていませんが複合的にアトピー性皮膚炎を改善する可能性が報告されています。

 

実際の臨床での報告は多数あり、たとえば(漢方医学,18:99~101,1994)では、アトピー性皮膚炎患者20人に対し、従来の治療を継続した上で白虎加人参湯を追加した時に、治療開始2週後からアトピー性皮膚炎の改善効果を示した、という報告があります。効果があった人では、内服してから4~5日目から顔面の赤みやほてりが改善した、という人が多かったと報告されています。

 

 

 

白虎加人参湯の成分・効能

白虎加人参湯は、下記の5種類の生薬からなります。

 

・石膏 (セッコウ) :天然の含水硫酸カルシウム。薬効は解熱作用、鎮静作用、消炎作用があります。

・知母 (チモ) :ユリ科ハナスゲの根茎。薬効は、鎮静作用、解熱作用、利尿作用、止瀉作用があります。また湿疹に効果があります。

・粳米 (コウベイ) :イネ科イネのえい果。薬効は、滋養強壮作用があります。

・人参 (ニンジン) :ウコギ科のオタネニンジンの根をそのまま、または湯通しして乾燥させたもの。薬効は、消化機能を高め、「気」の生成をますことにより、体力を回復させる作用があります。

・甘草 (カンゾウ) :マメ科の甘草の根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和作用や緊張を緩める作用があります。

 

 

白虎加人参湯の副作用

冷え症で虚弱体質の人は適しません。また、胃腸が弱く、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などを起こしやすい人は慎重に服用してください。

 

配合生薬の石膏を胃腸が虚弱な人が服用すると、食欲不振、胃がもたれる、舌が荒れる、軟便、下痢などの胃腸障害をおこす可能性があります。

 

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状が出る可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

 

 

白虎加人参湯の服用方法

ツムラ白虎加人参湯エキス顆粒によると、通常、成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。

 

基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

白虎加人参湯は熱や炎症を抑える「清熱剤」ですので、お湯に溶かし、冷やしてから服用すると、より効果的です。

 


参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・女性のための自分で選べる漢方の本(PHP)