呉茱萸湯の特徴

冷え性の人の繰り返し起こる頭痛、なかでも片頭痛に用いられている代表的な漢方薬で、特に吐き気がともなう片頭痛のときに適しています。呉茱萸湯が効果を得やすい人かどうかの診断目安は、みぞおちの抵抗や圧痛(心下痞鞕(シンカヒコウ))がみられるかがポイントです。

 

ロキソニンやボルタレンなどのNSAIDsと呼ばれる痛み止めや、イミグランなどのトリプタン系の製剤などを使用しても頭痛が改善しない、という方に有効な場合があります。釣藤散も頭痛に使われますが、釣藤散の場合は体を冷ます働きがあるので、冷え性の人や女性には呉茱萸湯の方が向いています。

 

中国・漢時代の「傷寒論(ショウカンロン)」および「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。

 

次のような人に有効です。

・手足が冷えて、消化器系が弱っている人
・片頭痛のある人
・吐き気・嘔吐をともなう
・みぞおちのつかえ感、痛みがある
・首や肩のコリがある
・女性
・高齢者の緊張型頭痛

 

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呉茱萸湯の作用・効果

片頭痛は発作性の激しく強い痛みで、しばしば吐き気を伴います。呉茱萸(ゴシュユ)は、上昇する痛みと表現される痛み、つまり上半身で生じる頭痛や肩こり、あるいは嘔吐をおさえる作用があります。漢方医学では、頭痛は、胃腸が弱り、気の流れが悪くなった時に冷えが加わることにになるとされ、呉茱萸湯は体を温めることで効果があると考えられております。

 

呉茱萸湯はおなかを温めて胃腸の働きを改善する生薬(呉茱萸、人参、大棗、生姜)から構成されており、「吐き気を伴う頭痛」に適しています。

 

臨床研究では、頭痛の発作回数が減ったり、痛みの強さが弱まり、頭痛にともなう冷えや月経痛、肩こりも改善されたという報告があります。また、西洋薬の鎮痛薬は、胃腸障害が副作用として出やすいため、副作用軽減のためにも呉茱萸湯は有効です。53人を対象にしたCurr Med Res Opin 2006;22:1587-97.の報告では、頭痛回数の低下や発作薬の使用回数を減らせたという報告があります。

 

薬剤乱用頭痛に対する呉茱萸湯の効果

片頭痛や緊張型頭痛で、痛み止めのロキソニンやカロナールなどを使用している方で、『はじめは効いていたけどドンドン効かなくなってきた』、『今も痛み止めを飲んでいるが、頭痛に悩んでいる』という場合は、飲んでいる頭痛薬が原因で頭痛が起こっている場合があります。そういった方を薬物乱用頭痛と呼び、診断基準があります。

参考:薬物乱用頭痛(medication overuse headache(MOH)の診断基準

 

A.頭痛は 1 か月に 15 日以上存在する

B.1 種類以上の急性期・対症的治療薬を 3 か月を超えて定期的に乱用している
1.3 か月を超えて、定期的に 1 か月に 10 日以上エルゴタミン、トリプタン系薬物、オピオイド、または複合鎮痛薬を使用している
2.単一成分の鎮痛薬、あるいは、単一では乱用に該当しないエルゴタミン、トリプタン系薬物、鎮痛薬、オピオイドのいずれかの組合せで合計月に 15 日以上の頻度で 3 か月を超えて使用している
C.頭痛は薬物乱用により発現したか、著明に悪化している

そういう方では、今使っている頭痛薬を中止する必要があります。その際に、痛み止めを止めてしまうことに対する不安のある方では、頭痛改善効果のある呉茱萸湯が向いている場合があります。また、反跳性頭痛といい、痛み止めを止めることで一時的に頭痛が強くなってしまう方もおり、そういったときにも鎮痛効果を発揮します。

 

五苓散や川芎茶調散も、人によっては薬剤乱用頭痛に効果がある場合がありますが、薬物乱用頭痛はもともと片頭痛持ちの方が多く、片頭痛は胃虚寒・寒飲上逆という状態、いわゆる呉茱萸湯が効きやすい状態であることが多いため、はじめの漢方薬の選択で用いられることが多いです。

 

片頭痛に対する呉茱萸湯の効果

片頭痛発作時に加え、再発予防を目的にも効果を発揮します。緊張型頭痛にも効き、手足が冷たく頭痛を繰り返し、首のコリや吐き気などがある片頭痛にはとても効果を発揮します。

 

効果が出るまでの時間は、通常は 2 週間位あれば十分に効いてきますが、冷えの程度が強い場合にはもう少し続けることではじめて効果を発揮する場合もあります。

 

 

呉茱萸湯の成分・効能

呉茱萸湯は、下記の4種類の生薬からなります。

 

・呉茱萸(ゴシュユ):ミカン科ゴシュユまたはホンゴシュユの未熟果を軽く湯通しして乾燥したもの。薬効は、健胃作用、鎮痛作用、利尿作用があります。

・人參( ニンジン):ウコギ科のオタネニンジンの根をそのまま、または湯通しして乾燥させたもの。薬効は、消化機能を高め、「気」の生成をますことにより、体力を回復させる作用があります。

・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実。料理にも使われるナツメの実です。薬効は、胃腸の機能を整えたり、精神を安定させたりする作用があります。

・生姜(ショウキョウ) :ショウガ科のショウガの根茎をそのまま乾燥させたもの。薬効は、体を温め、消化機能を整える作用があります。

 

 

呉茱萸湯の副作用

冷えがなく、体力が充実している人が服用すると症状が悪化する場合があります。

妊娠中の頭痛薬として時々話題にでる薬です。FDAの分類には記載されていませんが,習慣性片頭痛を適応としている「呉茱萸湯」は,医薬品添付文書中の記載では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみの投与」となっており、絶対的な禁忌とはなっていませんが、呉茱萸に子宮収縮作用があるため必ず主治医に確認しましょう。

服用する際は主治医に相談してください。副作用ではありませんが、呉茱萸湯は大変にがい漢方薬として知られています。

 

 

 

呉茱萸湯の服用方法

ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。