小半夏加茯苓湯の特徴

つわりによく用いられる漢方薬で、吐き気や嘔吐をおさえる他、食欲がなくて、胃に水分が停滞している感じがするときなどに用いられることがあります。時にめまいや動悸がするときにも使用されます、つわり以外にも色々な病気の吐き気や嘔吐にも用いられます。

 

中国・漢時代の「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。「卒に嘔吐し,心下痞し,膈間に水ありて眩悸する者は,小半夏加茯苓湯之を主る」と記されており、つまり急に吐き気や嘔吐があり、めまいや動悸がある際に小半夏加茯苓湯が向いているとされます。

 

次のような人に用いられます。

・体力は中くらい
・つわりが重い人
・胃の中に水が溜まっている感じがする
・食欲不振

 

更年期の吐き気などにも使用されることがあります。急性胃炎、慢性胃炎や慢性副鼻腔炎、乗り物酔いなどにも用いられます。大人の胃腸風邪の場合、水のような下痢や激しい嘔吐は少ないことも多く、妊娠中のつわりのような嘔吐の場合は小半夏加茯苓湯が効果を出す場合があります(逆に脱水になるような胃腸風邪には不向きで、五苓散の方が向いています)

 

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小半夏加茯苓湯の作用・効果

漢方薬の小半夏湯(ショウハンゲトウ)に茯苓(ブクリョウ)を加えたものです

 

半夏(ハンゲ)は痰を除去し、吐き気を止める作用があります。

 

生姜(ショウキョウ)は胃腸を温めて、吐き気を止める作用があります。

 

茯苓(ブクリョウ)が余分な水分を排泄する作用があります。

 

小半夏加茯苓湯はつわりの特効薬として知られ、つわりで苦しんでいる妊婦さんに処方されることの多い漢方薬です。

 

つわり(妊娠悪阻)への小半夏加茯苓湯の効果・漢方薬と妊娠

つわり自体は、妊娠の50%~80%ほどの方に見られ、重さや辛さは妊婦さんごとに違ってきます。妊娠の12週ごろから改善してくる人が多いですが、続く人も居ます。また、つわりが重い人も居て、このつわりがひどくなると、悪阻(おそ)とよびます。

 

悪阻は、食事が食べられず、体重が減ったりしてしまう方で、本当に重い人は1000人に1人~3人ほどいます。こう聞くと、すごく珍しいように聞こえてしまうかもしれませんが、1年間に生まれる赤ちゃんの数を考えてもらえばわかるように妊娠・出産する方は全国にもっとたくさんいますので、自分だけが悪阻になってしまった、と考える必要はありません。

 

悪阻の治療の原則は,脱水状態と飢餓状態を防ぐための水分補給および栄養補給ですので、食べれるものを、小分けにして食べる、という対処法が第一になります。

 

 

悪阻自体は、つまりつわりになっているという状態は、胎児への悪影響は少ないのではないかという報告もあり(Effects on fetal outcome. J Reprod Med 41 : 871─874, 1996)、抱え込まずに主治医の先生と相談してみるとよいかもしれません。

 

妊娠中の薬剤に関しては、主治医との相談が一番大事です。ですが、過度に薬を嫌う医師~気に留めもしない医師も残念ながらいることも事実です。

 

もし悩むような際には、https://www.ncchd.go.jp/kusuri/process/index.html
などのように、相談することができないか検討してみても良いかもしれません。(この国立成育医療センターは、何年も前から妊娠にかかわる薬剤について力を入れていて、妊娠・出産にかかわる医療者なら知らない人はいないのではないかというようなしっかりとした機関です)

 

後鼻漏に対する小半夏加茯苓湯の効果

後鼻漏や、副鼻腔炎や鼻炎などでみられる症状です。日東医誌 Kampo Med vol.62 718-721,2011において、後鼻漏15例に対し小半夏加茯苓湯を使用し、15人中10人で症状が改善したと報告されています。吐き気がない場合でも、鼻水が水のような状態の方によく効いたと報告されています。

 

ストレスが強いと嘔吐してしまう(心因性嘔吐)への小半夏加茯苓湯の効果

精神的なストレスがあると、吐き気が出たり嘔吐してしまい、検査をしてもはっきり原因がわからないという吐き気で心因性嘔吐と診断される方がいます。

 

小半夏加茯苓湯は、この嘔吐症に対して有効である可能性が報告されています。Science of Kampo Medicine 漢方医学 Vol.37 No.2 2013で6人の比較的若い(19歳~35歳、一人は60歳)の男女に対して、吐き気を改善させたという報告です。1-2週間ほどで吐き気が改善し、数ヶ月でほぼ症状が消えたと報告されています。

 

半夏は吐き気を抑えることに加え、抗ストレス作用や抗不安作用もあるとされ、それによる効果もあったのではと推測されています。

 

 

小半夏加茯苓湯の成分・効能

小半夏加茯苓湯は、3種類の生薬からなります。

 

・半夏(ハンゲ):サトイモ科のカラスビシャクの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、「水(スイ)」の代謝障害を改善し、「気」の巡りを調節する作用があります。嘔吐、悪心、めまいなどに用いられます。

・生姜(ショウキョウ):ショウガ科のショウガの根茎をそのまま乾燥させたもの。薬効は、体を温め、消化機能を整える作用があります。

・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、利水作用があり、余分な水分を排泄します。また、胃腸を整え、精神を安定させる作用があります。

 

 

小半夏加茯苓湯の副作用

特に副作用はなく、体質にこだわらずに服用することができます。
人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。

 

基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

 

小半夏加茯苓湯の服用方法

ツムラ小半夏加茯苓湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください

 

吐き気が強く飲みにくい、つわりで飲めないという方には、小半夏加茯苓湯をお湯に溶かし、それを一旦冷ました後、それを数口ずつ飲むという方法をすると、飲みやすい場合があります。

 

小半夏加茯苓湯は、3つの生薬で構成されている漢方薬です。漢方薬は、一般的に構成生薬が少ないほど早く効くため、小半夏加茯苓湯は効果が出るまでの早さが早い漢方薬になります。そのためあらかじめ小半夏加茯苓湯をお湯に溶かしその後冷やしたものを用意しておくと、飲みやすく吐き気に対処しやすくなります。