五苓散の特徴

口が渇き、尿量が少なく、嘔吐、下痢、むくみ、頭痛症状に用いられる漢方薬です。五苓散は水分調節機能があるため、体内に溜まっている無駄な水分を排泄します。急性胃腸炎、二日酔いや車酔い、船酔い、グルグル回転するようなめまい、急性胃腸炎、腎臓病、むちうちに対しても用いられます。

 

タレントのマチャミさん(久本雅美さん)も、二日酔いで翌日に残らない漢方薬として紹介していたことや、医師に効く常備しておきたい漢方薬という特集で取り上げられたこともある漢方薬です。研究のレベルでも、水を司るアクアポリンチャネルという場所に働く興味深い漢方薬として研究されています。

 

「気血水(キケツスイ)」のうち、「水(スイ)」が滞る「水滞」になると、体内の水分代謝がうまくいかず、むくみをはじめ、頭痛、めまい、下痢といった症状があらわれます。五苓散は「水滞」を改善する漢方薬です。

 

五苓散は水分調節機能があるため、体内に溜まっている無駄な水分を排泄します。水を調節してくれる作用から、むくみや二日酔い、またそれ以外にも急性胃腸炎、下痢、慢性頭痛、車酔い、船酔い、グルグル回転するようなめまいに対しても用いられます

 

中国・漢代の「傷寒論(ショウカンロン)」および「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。1800年前から使用されています。頭痛薬としては1950年ごろから使用されはじめられました。

 

慢性硬膜下血腫の再発予防としての報告は興味深く、No Shinkei Geka,40(11):967 – 971,2012という雑誌では、五苓散とトランサミンを使用したところ、慢性硬膜下血腫の再発率が低下したという報告があります。これは、体の中の水分の移動を調節するアクアポリンに作用し、全身の水分調節を行っているという点に着目した研究です。

 

のどが渇いて、体がのぼせて、かつ浮腫む、というような症状の方のむくみ対策として使用されます。また夏に暑くて水をたくさん飲んだら次の日に浮腫んでいた、というような夏バテにも効果が期待されます。また、雨の前日に頭が痛くなる、というような症状にも用いられることがあります。

 

水のたまった頭痛として、二日酔いや雨が降る前日の頭痛や三叉神経痛にも用いられます。特に五苓散が効果があった頭痛は、雨の前の頭痛の人で、他の頭痛に比べ16倍近く五苓散が効きやすい頭痛だったという報告があります。

また、血液透析による頭痛に、五苓散が有効であったという報告もあります。野口先生が報告された血液透析に伴う頭痛に対する五苓散の治療効果.漢方医 2010;34:182-3.では、透析前後の痛みが有意に改善した、とまとめています。

 

次のような人に有効です。

・体力は中くらい
・口が渇く
・尿量が少ない
・のぼせがある

 

病気や症状に対しての使用には

・気圧低下に伴う頭痛,片頭痛,三叉神経痛
・慢性硬膜下血腫
・脳卒中急性期における脳浮腫,脳腫瘍に伴う脳浮腫
・人工透析患者の不均衡症候群(頭痛や悪心・嘔吐など)
・ウイルス性胃腸炎
・妊娠浮腫
・航空機搭乗に伴う耳痛
・二日酔い

などに用いられます。

 

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五苓散の作用・効果

沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)は体内の余分な水分を排泄する作用があります。さらに茯苓は胃腸の働きを助ける作用があります。

 

桂皮(ケイヒ)は体を温め、利水作用があります。

 

薬効試験では、アルコールの代謝改善作用、利尿作用、消化管の運動亢進作用が確認されています。

 

五苓散の二日酔いに対する効果

五苓散は、水分調整に特化した漢方薬で、水の偏在を直します。本来は血管内にあるべき水分が、アルコールの利尿作用で尿が出すぎて脱水状態になっている機序の二日酔いには効果を持ち、また水の偏在が頭に偏り頭痛となっているような人では頭痛の改善にもなります。二日酔いに対する臨床試験というのは難しいためないですが、漢方診療者の間では「二日酔いの漢方薬」というイメージを持っている方は多いです。

 

むくみにも使用するので、尿を排泄する薬、というイメージを持たれることがありますがそうではなく、もし水が体の中に多すぎる場合は外に出す一方、そうでない場合は体内の水分量を調整するという働きを持っていると考えられています。

 

漢方薬は、構成生薬の数が少ないほど効果発現時間が短く(早く効く)、構成生薬が多いほど効果発現に時間がかかる傾向にあります。その点では五苓散は5つの生薬で、これは少なめになりますので、比較的早く効きます。そのため頓服(症状が出てから飲む)でも効果発揮までは早いですが、二日酔いの水分偏重を予防するために早めに飲むと、よりよく効く場合もあります。アルコールの代謝改善を期待する場合は、飲んだ日に飲むということがより効果的かもしれません。

 

五苓散の成分・効能

五苓散は、5種類の生薬からなります。

 

・猪苓(チョレイ): サルノコシカケ科チョレイマイタケの菌核を乾燥させたもの。薬効は余分な水分を排泄し、消炎作用、解熱作用、利尿作用があります。

・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、利水作用があります。余分な水分を排泄させるとともに、胃腸を整え、精神安定化作用があります。

・蒼朮(ソウジュツ):キク科のホソバオケラの根を乾燥させたもの。薬効は、「水滞」の改善作用があり、体内の水分代謝を正常にします。さらに消化機能を高める作用もあります。

・沢瀉(タクシャ):オモダカ科のサジオモダカの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、体の過剰な水分を除く働きがあります。口の渇き、胃の中に水分がたまっている症状を改善します

・桂皮(ケイヒ):クスノキ科のニッケイの樹皮または枝を乾燥させたもの。薬効は、「気」の巡りを整え、発汗によって体表の毒を除く作用があります。解熱作用、鎮静作用、血行促進作用があります。

 

五苓散の副作用

特に重い副作用はありません。五苓散は、体力に関わらず使用することができます。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。症状がひどいときは医師と相談してください。

添付文章に書かれているものとしては、ケイヒが含まれているため発疹、発赤、 かゆみなどの報告はあるとのことですがそのほかのことや相互作用、基礎疾患については記載されていません。

 

五苓散の服用方法

ツムラ五苓散エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください
雨の日の前日に頭が痛いという方でも、五苓散を試してあまり効果がないという方の中には、実は頭痛が出てから頓服で飲んでいた(頭痛が出るまでは服用していなかった)。という方も居ます。しかし、五苓散は水の状態を落ち着かせる作用なので、頭痛が出てからではなく、定期的に飲むことで効果を発揮する場合があります。

 

基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

五苓散の販売している場所

五苓散は第二種医薬品であるため、病院での処方はもちろん、薬剤師または販売登録員がいる場所で販売することができるためドラッグストアなどでも購入できます。

 

参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)

 

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