半夏厚朴湯の特徴

自律神経失調症の人によく処方され、不安神経症、不眠症に効果があるとされています。また、動悸、息苦しさ、肩こり、食欲不振、吐き気、咳などがあるときにも使われます。

 

古くから「気剤」の代表漢方薬とされ、精神不安定状態となり、「気分がふさぐ」「めまい」「喉にものがつかえる(梅核気(バイカクキ))」などの症状に対して使用される漢方薬です。

 

 

半夏厚朴湯以外に精神不安に用いられる漢方薬と使い分けでは、

①柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ):腹部に動悸、便秘症、体力がある
②加味逍遙散(カミショウヨウサン):不定愁訴
③抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ):虚弱、神経不安
④香蘇散(コウソサン):胃腸虚弱、神経不安
⑤甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ):体力あり、神経興奮、ヒステリー
⑥柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ):精神不安、疲労
⑦桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ):精神不安、腹部動悸

 

のような使い分け方があります。

 

中国・漢代の漢方医学の原点とされている「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。

 

次のような人に有効です。

・体力が中くらい
・胃腸が弱い
・気分がふさいでいる
・咽喉・食道部に異物感がある
・動悸、めまい、吐き気がある

 

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半夏香朴湯の作用・効果

半夏(ハンゲ)はみぞおちあたりの「水(スイ)」の滞りを除いて、「気」の巡りを整える作用があります。厚朴(コウボク)と蘇葉(ソヨウ)は不安による筋肉の緊張をやわらげます。また、気分を落ち着かせる作用もあります。

 

これらの生薬が組み合わさり、精神的な不安を取り除いて、心を落ち着かせる効果を発揮しています。

 

薬効試験では、抗不安作用が確認されています。また、つわりの症状が重いときにも使われることがあります。身体表現性障害と診断されいろいろな症状が心配になってもなかなか対処が難しいといわれる状態になってしまっている方に効果を有したという報告もあります。

 

半夏厚朴湯に含まれている5種類の生薬のうち、主な働きをするのは半夏と厚朴です。この2つの生薬の名前を繋げて半夏厚朴湯と呼ばれています。

 

つわりに対する半夏厚朴湯の効果

つわりに対し保険適応がある漢方薬として、小半夏加茯苓湯、半夏厚朴湯、人参湯、五苓散、茯苓飲合半夏厚朴湯、半夏瀉心湯、安中散などがあります。現時点で機序は不明ですが、つわりに対して点滴やビタミンや吐き気止めを使用しても改善しない場合、効果がある場合があると報告されます。

 

うつに対する半夏厚朴湯の効果

半夏厚朴湯は不安感に対して効果的で、パニック発作などでも用いられます。そして、抑うつ状態にも使用されます。「几帳面で、問診票などはきっちり書き切らないと納得しない」「いつもなにかおちつかない」というような人の精神を落ち着かせる働きもあります。

 

Guo 氏らの研究では、マウスにストレスを与える実験の中で、半夏厚朴湯に含まれるpolysaccharide がストレス反応を減らすことや、ストレスを感じるホルモンの分泌を調整したと報告しています(参考文献:Phytother Res 18(3): 204B207,2004.)。半夏厚朴湯に含まれるpolysaccharide が抗ストレス作用を持っていると考えられた実験結果でした。

 

うつ病,うつ状態に対する半夏厚朴湯の使用経験と題された筒井先生の論文では、4週間の半夏厚朴湯処方で70%の人で有効・やや有効という効果を示したと報告されています。ただ、他の漢方薬と比較し、うつに対する半夏厚朴湯の研究報告に関しては多くありません。半夏厚朴湯の報告で多いのは神経症や喉の違和感に対してです。「半夏厚朴湯が緊張感、不安感、焦燥感、抑うつ感などの精神症状に対して有意な改善を示した」と結んでいます。

 

また、うつ病・パニック障害合併妊婦(うつ病やパニック発作を持病に持つ方の妊娠)に関し、気うつと考えれば妊娠悪阻にも保険適応のある半夏厚朴湯が効果的で,「こんなはずではなかった」というような怒りを内在したものには抑肝散・抑肝散加陳皮半夏が効果的であるという寄稿が香川母性衛生学会誌に寄せられたりと、今後の調べは必要ですがよりリスクvsベネフィットで良い選択肢が増えるとよいと感じます。

 

半夏厚朴湯の成分・効能

半夏厚朴湯は、5種類の生薬からなります。

 

・半夏(ハンゲ):サトイモ科のカラスビシャクの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、「水(スイ)」の代謝障害を改善するとともに、「気」の巡りを調節します。嘔吐、悪心、めまい、頭痛を改善する作用があります。

・厚朴(コウボク):モクレン科のホオノキの樹皮を乾燥させたもの。薬効は、「気」を巡らせ、緊張や痛みをやわらげる作用があり、胸部や腹部の腫れや腹痛、膨満感を改善します。

・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、利水作用があります。余分な水分を排泄させるとともに、胃腸を整え、精神安定化作用があります。

・蘇葉(ソヨウ):シソ科シソの葉および枝先。薬効は、咳を鎮め、痰を出す作用があります。

・生姜(ショウキョウ):ゴマノハグサ科のアカヤジオウの根を乾燥させたもの。薬効は、「血(ケツ)」の不足を補い、「腎」の働きを活性化する作用があります。

 

半夏厚朴湯の副作用

特に重い副作用はありません。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。症状がひどいときは医師と相談してください。

 

まれに皮疹が出ることがあり、発赤、発疹やかゆみがあるときは中止しかかりつけ医に相談してください。

 

半夏厚朴湯の服用方法

ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

 

参考文献

・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)