症状の特徴

気管支喘息は、気管支内の分泌物の増加や、気管支を取り囲む組織の収縮によって、肺へ空気が入りづらくなることで起こる病気です。

 

発作が起こると、咳や喘鳴が現れます。気管支喘息の悪化因子は、ハウスダストやダニ、ペットのふけや体毛などによるアレルギーや、遺伝、ウイルス感染、喫煙に加え、心因性のストレスなども喘息の悪化因子です。環境的な変化が喘息に与えた影響として、車の排気ガスや工場の排煙による大気汚染、住宅建材に使われる塗料、食品添加物などの化学物質なども喘息が増えた要因の1つではないかと考えられています。

 

気管支喘息患者は毎年増えつつあり、発症年齢の低年齢化も問題とされています。現在、日本人の400万人以上が気管支喘息を患っているとの報告もあります。喘息発作を起こさないように抑えることが、将来的な呼吸障害を防ぐために最もよい治療です。

 

西洋医学の治療

漢方のサイトに期待される答えではないかもしれませんが、気管支喘息の治療の基本と主体は西洋薬です。

 

治療の順序、選択などのガイドラインは、将来的な呼吸障害の予防効果もあり、最重要視されるべきものです。一番の基本薬は吸入のステロイドになります。

 

喘息症状を抑えるには、全体の病勢コントロールのための吸入ステロイド、発作時に特に効果を発揮する気管支拡張剤の吸入β2刺激薬や、アレルギー薬やテオフィリン徐放薬、経口ステロイドなどを投与します。

 

気管支喘息の治療には、通常、吸入療法が行われますが、薬剤が直接気管支に届くことにより高い効果が得られ、副作用を最小限に抑えられることから、高い評価を得ています。アトピー型喘息の場合、アレルゲンをできるだけ除去することも重要な対策のひとつです。

 

最近ではIL-5に対する抗 IL-5 抗体である mepolizumab という製剤も出てきており、 IL-5 受容体 α 鎖と IL-5 の結合を阻害するヒト化モノクローナル抗体の有用性が出てきています。2012 年に報告された 621 例の重症喘息患者を対象とした試験(DREAM 試験)でも,増悪抑制に抗 IL-5抗体が有用という報告がされており、治療の注目が集まっています。

 

そのように、重症度や発作の回数、間隔により薬剤を調整し、発作が起こらないようコントロールを良くしていくことが喘息の治療のキモで、ガイドラインにも現時点では漢方薬の記載はありません

 

漢方医学の治療

漢方治療は、発作の予防と、体質改善が中心です。中発作以上では、西洋医学的治療を優先します。

 

ただし、喘息も一つの状態だけで決まるものではありません。そこに多少かもしれませんが漢方の余地と役立てる点はあり、たとえば心因性の要素が関与すると思われる喘息では、そちらの方面にも役立つような生薬の配合された、気管支を広げる作用のある麻黄を配合した漢方薬を用います。

 

例えば神秘湯(シンピトウ)などはその代表的な漢方薬で、ストレスと気管支喘息がかかわっているような際に使用されることがあります。慢性期には、柴胡剤を用います。

 

 

漢方外来で気管支喘息の方が来た時には、西洋学的なアプローチで評価し、現在のコントロールや薬剤に大きな問題がないか確認します。そして、喘息を悪化させる要素で大事な点である「コンプライアンス」「アドヒアランス」を確認します。

 

「コンプライアンス」「アドヒアランス」は、薬をきちんとつかえていたか、という評価です。喘息のコントロールが悪く、どんどん悪化してしまう方で漢方を頼ろうという方に一定数居るのが、「ステロイド嫌いにより処方された薬剤を使用していない」という方です。これは長期的にみれば肺的には非常に危なく、きちんと再度話し合う必要があります。

 

気管支喘息に対して、現時点は漢方薬は第一選択にはならず、限界がある治療であると認識している漢方医のもとで、加療をうけるのが良いのではないでしょうか。

 

 

 

気管支喘息に対して用いられる主な漢方処方

以下にタイプ別に用いられる漢方処方を挙げます。また、その文脈(東洋医学的にどのように捉えるのか)を伝えます。ただ、治療の主体は西洋薬という当サイトの伝えたいことを理解したうえで参考にしていただければと存じます。

 

ストレスと発作がかかわっているとき 神秘湯(シンピトウ)

 

気管支喘息は漢方医学での「肺」の機能に問題が起きていると考えます。主に肺が冷えている場合と、肺が熱をもっている場合の2つに分けられます。

 

肺が冷える原因としては、外から冷えを受けたり、水分代謝がスムーズにいかずに肺に水分がたまるなどが挙げられます。

 

冷え性傾向だったり、うすい痰や水様性の鼻水が特徴です。このようなタイプには、水分代謝を促し、体を温める作用をもつ「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」や「麻黄を含む漢方薬」が用いられます。

 

逆に肺が熱を持つ原因としては、まずアレルゲンが肺に侵入し、炎症が起きていると考えられます。呼吸困難や喘鳴と共に黄色い粘りのある痰が出ます。このタイプには熱を冷まして、気管支を拡げて呼吸を楽にする効果がある「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」などが使われます。

 

  • 軽い発作のとき
  • 赤ら顔、汗がでる→麻杏甘石湯
  • くしゃみ、鼻水→小青竜湯
  • 慢性期
  • 咽頭部が苦しい、食欲不振、倦怠感、小児喘息→柴朴湯
  • 胸部が苦しい、虚弱体質、夜間に咳が出る→木防已湯
  • 倦怠感、食欲不振、疲労感→補中益気湯
  • 痰の色はなく、喘鳴がする→麻杏甘石湯
  • 虚弱体質、痰、喘鳴、胸苦しい、胃腸虚弱→苓甘姜味辛夏仁湯

 

 

ライフスタイルで注意すること

アレルギーが原因によるものが多いので、ハウスダスト、ペットに注意することが大切です。また、ストレスも原因になりうるためストレスのない生活を送るよう心がけることも大切です。

 

そして、処方された薬を正しく使うこととと、納得がいっていない場合には、主治医の先生とゆっくり話してみることをお勧めします。喘息の治療はこの10年で大きく変わっています。

 

気道のリモデリングという、喘息のコントロールが十分でないことが原因で起こる、息の通り道が一生狭くなってしまう状態にならないよう、適切なコントロールをしていける時代になっているので、きちんとした治療をお勧めします。