五十肩とは50歳代を中心とする中高年に多く見られる、肩関節の痛みや動かしにくさを主な症状とする疾患です。肩関節周囲炎とも呼ばれます。

 

発症して2週間程度の急性期には、動かしたときに強い痛みが起こり、安静時や夜間寝ている時にも鈍い痛みがあることが多いです。

 

また関節包(関節を包み保護する袋のようなもの)がダメージを受け、腕が上がらないなどの運動制限が徐々に起こります。

 

慢性期に入ると痛みは落ち着いてきますが運動制限は残り、身支度など日常生活に不便を感じることもあります。

 

その後の回復期では動かせる範囲が徐々に大きくなり治癒に至ります。発症から治癒までは数ヶ月~年単位の期間を要するものであり、自然治癒か積極的な治療を行なったかによっても異なります。

 

軽度なものは自然に治る場合も多いですが、放置することで肩関節が動かなくなったりすることもあるため注意が必要です。

 

 

五十肩の原因

五十肩の原因としては、肩関節を構成する骨や靱帯などの組織が老化した状態で、スポーツや職業により肩関節を酷使することで炎症が起こるためと考えられています。

 

また糖尿病の人は、そうでない人より五十肩の発症率が高いことが知られています。原因ははっきりしていませんが、血糖が高いことで関節包が固くなりやすくなるためと考えられています。

 

 

五十肩の治療

薬物療法やリハビリなどの保存的療法が一般的です。

 

痛みを和らげるための非ステロイド性消炎鎮痛剤の内服や貼り薬が有効ですが、痛みが強い場合は関節にステロイド剤の注射を行うこともあります。

 

痛みが治まれば関節可動域を広げるリハビリを行います。筋肉の緊張をほぐす温熱療法・筋肉を強くする運動・ストレッチなどがあります。

 

保存療法で改善しない場合は、固くなった関節包をはがしたり切離したりする手術が検討されます。

 

 

五十肩で使用される漢方薬

漢方では五十肩の症状を、冷えや湿気などによる血行不良(お血)のため、体内の水の代謝の低下(水滞)や生命エネルギーの巡りが悪くなる(気滞)ことが原因と考えます。このような状態を改善するものや、炎症による熱などを取り除く漢方薬が五十肩の治療に効果的です。

 

二朮湯・・・胃腸の調子を整えて体内の余分な水を排出し、水滞による痛みを取る作用があります。肩や腕など上半身の痛みに効果的で、五十肩の治療によく使用されます。比較的体力がなくて胃腸が弱く、水太りタイプなど水の停滞がある人に向いています。

 

葛根湯・・・体表を温めて発汗を促し、首や肩の筋肉の凝りを緩めて、痛みを和らげる作用があります。特に首から上の症状に効果的な漢方薬で、頭痛や肩こり・蓄膿症・関節痛など広く使用されます。比較的体力があり胃腸が丈夫で、首筋や肩の凝りがあるような人に向いています。

 

桂枝加朮附湯・・・体を温めて血行を良くし、体内の余分な水をとり除き、痛みを和らげる作用があります。体力があまりなく冷え性で、汗をかきやすいなど水滞の症状がある人の、冷えや湿気で悪化するような関節痛や神経痛に効果的です。

 

越婢加朮湯・・・体内の熱を冷まし、体内の余分な水を取り除き、痛みを抑える作用があります。患部に痛みや熱・炎症がある症状に効果的で、関節痛などの他、皮膚の炎症性疾患などにも使用されます。体力があって冷えがなく胃腸が丈夫で、口渇・むくみなど水の停滞があるような人に向いています。

 

麻杏薏甘湯・・・体内の余分な水を排出し、炎症を抑えしびれや痛みを和らげる作用があります。体力中程度で、痛みや炎症があまり強くなく、やや慢性化した関節痛などに効果的です。

 

薏苡仁湯・・・血行を良くし、水の巡りを良くして余分な水を排出し、痛みを和らげる作用があります。比較的体力があり冷えがある人で、水滞による痛みやしびれ・関節に水がたまっているといった症状に使用します。慢性化した関節痛や関節リウマチなどに効果的です。