ケロイドとは、皮膚にできた傷が治る過程でできる線維細胞が異常に増殖し、傷跡が赤く盛り上がった状態になるものをいいます。ケロイドと呼ばれるものには、「肥厚性瘢痕」と「真性ケロイド」の2種類があります。両者の区別は難しいですが、症状や治療に対する反応などの点で違いがあります。

 

 

ケロイドの症状

肥厚性瘢痕と真性ケロイドの共通した症状には、傷跡が赤く盛り上がる・ひきつれる、痛み・かゆみ、などがあります。見た目は非常に似通っていますが、次のような異なる特徴があります。

 

・肥厚性瘢痕

ケロイドの多くはこの肥厚性瘢痕であり、できる範囲は傷の大きさと同じです。患部の赤みや盛り上がりは、多くは時間経過で徐々に落ち着き、比較的治療効果が出やすいのが特徴です。年齢・性別に関係なく発生します。

 

・真性ケロイド

真性ケロイドでは、傷の盛り上がりや赤みが傷の範囲を超えて広がっていくことに特徴があります。腕・肩・胸・腹部・耳などに好発し、男女の差なく30歳代以下の発生が多く見られます。一般的に治療の効果が出にくく、治療に長期間を要する場合や再発する例が多いです。

 

 

ケロイドの原因

ケロイドの誘発因子は怪我や手術などによる傷ですが、ケロイドが発生する原因ははっきりしていません。アレルギーの一種であるとも考えられ、体質による影響が大きいと言われています。またケロイドになりやすい家系が見られることから、遺伝的素因があるものとされています。

 

 

ケロイドの治療

ケロイドの治療方法は、肥厚性瘢痕と真性ケロイドでほぼ同じです。薬物や傷の固定などの保存的療法が基本となり、症状に応じて手術療法が検討されます。

 

・薬物療法

ケロイドの発生原因とされるアレルギー反応を抑えて赤みやかゆみを軽減する抗アレルギー薬の内服や、炎症を抑えるステロイド(軟膏・クリーム・テープなど)・保湿剤などの外用薬、ステロイドの局所注射などがあります。

 

・圧迫固定療法

傷をテープやシリコンシートなどで圧迫することで、盛り上がりなどを軽減し、傷を安静に保つ効果があります。

 

・手術療法

拘縮(ひきつれ)があるケロイドや、目立つ場所に発生したケロイドなどには、手術で切除が行われる場合もあります。手術を行った際の傷からケロイドが発生してしまうのを防ぐため、術後の放射線照射(線維細胞の増殖を抑える)や保存療法が併せて行われます。

 

 

ケロイドで使用する漢方薬治療と対策

ケロイドの漢方治療では、患部の炎症やかゆみを抑え、皮膚を保護する効果があるものなどに保存的療法を助ける効果が期待できます。また漢方ではケロイドは「お血(血の滞り)」の症状であると考えるため、お血の改善も症状の軽減に有効と考えられます。

 

柴苓湯・・・炎症や熱を鎮め、体内の余分な水を排出し、消化器系の調子を整えるなどの作用があります。また内因性ステロイド(体内で作られるステロイドホルモン)の働きを強める作用が認められていて、免疫反応に関係する疾患や、炎症を抑えるため、ステロイド剤の減量のため、などに用いられています。体力中程度で、むくみや尿量の減少など水の停滞があるような人に向いています。

 

白虎加人参湯・・・体の熱や炎症を冷まし、潤いを保つ作用があります。患部に赤みや熱感・かゆみなどがある皮膚疾患や脱水、糖尿病などに用いられます。体力があり、ほてりや口の渇きがあって冷たい水をたくさん欲しがるような人に向いています。

 

桂枝茯苓丸加薏苡仁・・・お血を改善する代表的な処方である「桂枝茯苓丸」に、薏苡仁という生薬を加えた漢方薬です。薏苡仁には体の余分な水を除く・炎症を抑える・皮膚のターンオーバーを改善して肌をきれいにするなどの作用があります。

 

・紫雲膏・・・消炎や解毒・皮膚を潤す・血流を良くするなどの作用がある漢方の塗り薬です。傷や火傷・かぶれ・あせも・褥瘡など様々な皮膚疾患に用いられます。ケロイドの赤みやかゆみなどに対する有効例も報告されています。