インフルエンザとは

インフルエンザはインフルエンザウイルスによって起こる呼吸器感染症です。普通の風邪が通年見られるのに対して、インフルエンザには流行性があり日本では例年12月から3月頃にかけて見られます。インフルエンザウイルスの種類にはA型・B型・C型があり、大きな流行となるのはA型とB型です。

 

毎年小さく変化しながら世界中で流行する季節性のA型インフルエンザウイルスが、時に大きく変化したものが新型インフルエンザです。新型インフルエンザは多くのヒトが免疫を獲得していないため急速に感染が広がりますが、免疫が獲得されていく内に季節性のインフルエンザとして扱われるようになります。

 

 

インフルエンザの感染経路と症状

インフルエンザウイルスの感染は、主に患者の咳やくしゃみに含まれるウイルスによる「飛沫感染」や、手に付いたウイルスが口や鼻を触ったときに体内に入り込む「接触感染」が原因となります。

 

潜伏期間は約1~3日で、38℃以上の発熱や頭痛・関節痛・筋肉痛などの全身症状が突然現れることが特徴です。子どもや高齢者など抵抗力の弱い人では重症化することもあります。

 

 

インフルエンザの治療

インフルエンザに感染したらまずは安静にして、水分を十分に摂ることが大切です。近年よく使われる抗インフルエンザ薬には内服・吸入・点滴など数種類があり、症状や年齢などにより選択されます。一般的にインフルエンザ発症から48時間以内に使用することで、発熱期間の短縮やウイルスの排出量減少などの効果が期待できます。

 

抗菌剤はインフルエンザウイルスには効果がありませんが、高齢者などの肺炎等の合併症に対して使用されることがあります。また関節痛など、その他の症状を和らげる薬(いわゆる解熱鎮痛作用のある薬)が使用されることもあります。小児の場合は、NSAIDsと呼ばれるタイプの解熱鎮痛剤は使用しないことが原則となります。

 

 

インフルエンザの予防

インフルエンザワクチンは感染を完全に抑えるものではありませんが、ある程度の発病阻止効果と、感染した場合は重症化を防ぐ効果が期待できます。

 

特に基礎疾患がある人や高齢者など重症化しやすい人にとって、このような予防効果は重要となります。生後6ヶ月から接種可能で、13歳未満までは2回接種、13歳以上は1回の接種となります。健康保険適用外ですが年齢や自治体によっては助成が受けられることがあります。またワクチン接種の有無に関わらず、うがい・手洗いの励行やマスクの活用が予防のために有効です。

 

 

インフルエンザに使用される漢方薬治療

漢方薬をインフルエンザに対して使う時も、基本は普通の風邪の場合と同様にその時の症状や体質によって処方が選ばれます。また同じ漢方薬を治るまで飲み続けるのではなく、解熱など症状の推移に合わせて変更していくのが効果的とされています。

 

麻黄湯・・・構成生薬によるウイルス感染抑制効果や免疫調整作用があり、抗インフルエンザ薬と同等の解熱作用や、筋肉痛など全身症状の改善作用があると報告されています。また作用機序が異なる点から、時に見られる薬剤耐性インフルエンザにも効果が期待できます。

体を温めて、強い発汗作用で初期の風邪を発散させるタイプの漢方薬です。インフルエンザでは基本体力が充実している人で、発熱や悪寒・頭痛・関節痛などの初期症状があり、汗が出ない状態のときに使用します。使用目標が似ていて効果がよりマイルドなのが葛根湯で、症状の強さや体力の充実度などで使い分けられます。

 

麻黄附子細辛湯・・・体をしっかり温め、悪寒を除き、頭痛や喉の痛みを改善するなどの作用があります。体力が落ちていてあまり発熱が見られないような状態に向いています。麻黄湯と同じタイプの漢方薬ですが体力が虚弱な人や高齢者、麻黄湯では胃腸に負担な場合などに用いられます。これよりもう少し体力があり、悪寒を伴う発熱や時に発汗傾向がある人には桂枝湯が有効です。

 

小柴胡湯・・・炎症を抑える作用や胃腸を整える効果があり、やや体の内部に風邪が入り込む中期以降の症状に効果的な漢方薬です。麻黄湯などを2~3日服用した後に用いると、微熱やだるさなどの後期症状を改善し、インフルエンザで弱った体を回復させる効果があるとされています。食欲不振や腹痛などの症状を伴う場合は、小柴胡湯と桂枝湯を合わせた柴胡桂枝湯が効果的です。

 

麦門冬湯・・・咽頭を潤す作用があり、喉が乾燥して痰がからむような乾いた咳を改善する作用があります。インフルエンザの後、空咳が長引くような場合に効果的です。