関節リウマチの特徴

関節リウマチ(RA)は、関節滑膜病変を特徴とする慢性の炎症性疾患です。患者数は100万人近くいると言われ、女性に多く発症しています。

 

進行すると、軟骨・骨に侵食し、関節組織の破壊・変形に至ります。初期には、手首や手指、膝、足の指などの関節痛と関節の腫れが数週間から数ヶ月にかけて徐々に強くなり、手指に朝のこわばり、発熱、疲労感が生じることがあります。さらに進行すると、脊椎関節(頸椎)など全身のあらゆる関節に広がり、ひどい時には、関節の変形や脱臼、強直が起こります。

 

原因は、免疫異常と言われていますが、詳しくはわかっていません。現在は、早期発見・早期治療によって進行を遅らせることが可能となっています。

 

 

西洋医学の治療

関節リウマチの診断には、2つの基準があり、1つは次の7項目のうち4つ以上を満たした場合に診断が確定します。

  • 朝のこわばりが1時間以上あり6週間以上続く
  • 3ヶ所以上の関節の腫れが6週間以上続く
  • 手首、手指の関節の腫れが6週間以上続く
  • 左右対称の関節の腫れが6週間以上続く
  • 手のX線写真上の変化
  • 皮下結節(しこり)
  • 血液中のリウマトイド因子(自己免疫抗体)が陽性

このほかに、赤血球沈降速度検査や、MRI画像、CRPなどの所見も目安とされます。

 

早期関節リウマチの基準(ACR2010)というものもあり、最近では早期治療のためこちらを用いることも増えてきています。

 

現在のところ、関節リウマチを完治させることは難しい状況です。しかしごく早期に治療を行い、Drug-freeという薬を使用せずに関節炎が出てこないという状態は10%見られるという報告もあるため、完治しない病気かという質問に対する返答は答えづらい状況です。昔に比べ治療が良くなってきているのは確実で、早期に治療し適切に治療することで、変形のリスクなどは確実に減ってきています。

 

そのほか運動と安静、食事、冷え対策などの基礎療法、薬物療法、リハビリテーション療法、外科的療法が行われています。

 

早期からの抗リウマチ薬の処方で有効と証明されたため、現在は関節リウマチと診断されたら、早くから抗リウマチ薬を用い治療をします。効果が現れない場合・不十分な場合、生物学的製剤を使用します(現在はレミケード®エンブレル®ヒュミラ®シンポニー®シムジア®アクテムラ®オレンシア®が使用されています)。炎症抑制に強力な効果があるステロイドは、骨粗しょう症、食欲亢進、糖尿病、白内障などの副作用が多いという問題があり、また長期的には変形を防いでくれる薬剤ではないため、ほかの薬剤が効果を示さない時に使用するにとどめられています。

 

 

漢方医学の治療

基本的には西洋薬を優先して治療をされますが、漢方薬を併用することで症状の改善により有効な効果を得られる場合も少なくありません。漢方薬は、副作用を抑えたり、西洋薬の効果を補強したり、体力を回復させ、全身状態の改善を目的に用いられています。

 

関節リウマチの症状が出始めた時には、関節痛を和らげる越婢加朮湯、麻黄湯、麻杏薏甘湯が用いられます。配合生薬の麻黄の成分のエフェドリンが関節痛を緩和していると考えられています。体力のない人に対しては、桂枝湯、真武湯が用いられ、冷え性を改善させる目的で使われます。

 

慢性の関節リウマチに対しては、薏苡仁湯、桂枝加朮附湯、大防風湯を用います。膝関節に水が貯まっている場合は、防已黄耆湯、下半身の冷えが強い場合には、疎経活血湯が用いられることが多いです。

 

また、体力が消耗され、疲労感が強い場合には、十全大補湯が用いられます。

 

関節リウマチで問題となっている骨粗しょう症に対して、桂枝加朮武湯、牛車腎気丸、八味地黄丸、十全大補湯は有効な効果があるという報告もあります。

 

 

関節リウマチに対して用いられる主な漢方処方

 

以下に体力別に用いられる漢方処方を挙げます。

  • 体力のある人
  • 関節に熱感がある。口が渇く→越婢加朮湯
  • 痛みが強い→麻黄湯
  • 筋肉、関節痛が強い→麻杏薏甘湯
  • 体力が中程度の人
  • 慢性期、関節周囲の筋肉が痛い→薏苡仁湯
  • ステロイド剤、抗リウマチ薬と併用をする→柴苓湯
  • 体力がない人
  • 体力の消耗が激しい→十全大補湯
  • 関節の腫れ、まひ、歩行困難→大防風湯
  • のどの渇き、疲労感、倦怠感、腰の冷え、足のしびれ、頻尿→八味地黄丸、牛車腎気丸
  • 関節に水が貯まる→防已黄耆湯

ライフスタイルで注意すること

正しい医学的知識、体の安静と適度な運動、冷え性対策、バランスのとれた食事がとても大切です。歯周病の予防と禁煙も大事です。

 

関節リウマチは病勢の強弱があり、活動性が強く痛みが強い時は、微熱が出て疲れやすくなるため、安静にすることをこころがけます。風が直接あたらないように気をつけ、保温を心がけることも大切です。

 

参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方薬・生薬の教科書(新生出版社)
・薬の図鑑(knowledge)